過去ログ - 和久井留美「食べる、という事」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/01(日) 07:38:35.24 ID:InD/KiKc0

この街に何か良い食事処が無いか。私は周囲を注意深くながら散策する。
換気扇から漏れ出てくる臭いも、敏感に嗅ぎ取りながら私は店を探す。
しかし、今は平日の昼過ぎという時間帯。何処の食事処にも、スーツを着た会社員が男女問わず列を成していた。

ぼうっとそんな光景を見ていると、昔の事を思い出す。
仕事以外何も知らなかったアイドルになる前の私。
彼に出会う前の……私。

今とは、世界が全く違った。
モノクロの世界に私は生きていたような気がする。
本当に、今とは全く。


「……」


イタリアン、フレンチ、カフェ……そう言った所ですら、人が落ちつき無くひしめいている。
一人で食べるのならもっと静かな所で食事がしたい。そうでなければその食材と味付けの両方の奥底まで味わえない。
匂いを嗅ぎ、よく噛み締め、舌で感じ、呑みこむ。そして、舌に残った味の余韻を感じながらまた次の一口を頬張る。
一人で食べるのなら、そうして、髄まで味わうように私は食事をしたい。

そう思うようになったのは、つい最近の事だった。
理由は……自分で料理を作るようになって、少しでも他の料理を参考にしようと思ったからだ。
あの人に食べて貰うのなら……良い物を出してあげたいから。
私は、案外凝り性なのかも知れない。こういう考えを持ってから、食事に拘るようになった。
そして食べる事が、とても楽しいと思えるようになってきた。



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