6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/01(日) 07:43:27.55 ID:InD/KiKc0
「いらっしゃいませ」
来客を知らす鐘が鳴り、あの芳醇な匂いと愛想の良い、品良く白い髪をセットした婦人が私を迎えてくれた。
少し弱めの照明に会話を妨げない程度のBGM。一組の上品な女性客達が、声のトーンを下げて楽しげに会話をしていた。
カウンターの向こうにいる店主と思われる初老近くの男性は、きっちりと服装を整えて、穏やかな顔つきで食器の手入れをしている。
この喫茶店然とした雰囲気は、とても落ち着けそうだった。
私は少し嬉しくなりながらカウンター席に腰かけた。
「はい、こちらがメニューになります」
先程の女性がおしぼりとお冷、そしてメニューを持ってきてくれた。
メニューの本は長年使用されているような感じがしていて、ここがとても地元で愛されている店なのだと理解できた。
私はお目当ての料理を探し、ページをめくった。
あった。濃厚ビーフシチューと書かれた品目を発見した。写真付きでこの店のおすすめと書かれていた。
私はすぐに店員さんを呼び戻し、このビーフシチューとバゲットを注文した。
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