過去ログ - 上条「アイテムの正規メンバーですか」
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◆Ks/3680U6o
[saga]
2014/01/30(木) 20:48:45.84 ID:3L3phDi+0
――麦野沈利はお嬢様だった
資産家の家に生まれ、欲しいものは何でも苦労せずに手に入れた
大人たちにはちやほやされ、専属の執事までついた
当時、小学生ながらも高校生や二十代の男性に口説かれることなども少なくなく、多くの女性は麦野の前にひれ伏すばかりであった
資産家の一人娘だったので最低限のマナーは身に付けたが、性格はやんちゃであったがために麦野の周りの人間は日々奔走し、麦野の要求を叶えるためだけに家族を捨てるものもいた
それほどに自由奔放で人を使い金を使い勝手気ままに生きてきた勝ち組の人生だった
しかし、その人生はすぐに終わりを迎える
計画的な犯行だった
麦野の父が無茶苦茶な事業展開をしてきたせいで、潰された会社の元社長らが麦野の家に放火をした
犯人グループは麦野家の外にあった監視カメラによってすぐに捕まることになるのだが、麦野の両親と数人の使用人が焼死してしまった
麦野自身は執事の機転により助けられはしたが、執事の顔や身体に一生消えない傷痕を残してしまった
麦野は泣いた
両親が死んでしまったこと
家を失ってしまったこと
両親の次に信頼していた執事に一生消えない傷痕を残してしまったこと
それを笑って許してもらったこと
哀しみと喪失感と少しの嬉しさと怒りに泣いた
それからというもの、親戚のいなかった麦野は多くの大人に養子にならないかと誘われた
だが、彼らは決して麦野沈利を見ていたわけではなかった
麦野の背後にある莫大な資産
これだけが目的だった
麦野は理解していた
今まで自分が思い通りの人生を送ってこれたのは全て両親の資産とその権威があったからこそだと
麦野は大人が信じられなくなった
麦野は何を信じれば良いのかわからなくなった
麦野は……
麦野は執事に頼った
もうそれしか頼れるものがなかった
もうそれしか自分の手には残っていないと思った
両親の資産など麦野自身の価値を薄めてしまうものでしかないように思えた
執事は全ての養子縁組を断った
執事は保護者という立場で麦野を引き取り、質素だがしっかりとした暮らしを二人で始めた
麦野家の資産はほとんと手付かずの状態で放置された
執事は顔の傷痕のせいで仕事は夜勤の肉体労働
麦野は私立の小学校から普通の小学校へと転校した
そこでの生活は今までとは違った
男の子には少しモテていたようだが、女の子には日々嫌がらせを受ける日々
頭は良かったのだが教科書に落書きをされまともに授業など受けられなかったため成績は悪かった
イジメを教師には告げ口しなかった
いや、出来なかった
プライドが邪魔をしたからだ
執事にも相談出来なかった
成績が悪いのを自分が出来ないからだと言い張った
執事を困らせたくなかったからだ
そして、麦野は気付く
前の学校で悠々自適に暮らしていたのも全て両親の資産と権威があったからなのだと
やがて男の子も女の子も信じられなくなった
信じられるのは世の中で執事のみとなった
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