25:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 19:08:36.63 ID:bKqi92pu0
「……」
「……」
歩きながらふと思ったのだが、俺はいつあの電車の料金を支払ったのだろうか。
こんな秘境駅にまで来るような路線は、大方第三セクターの経営する赤字路線である。
意図せずとはいえキセル乗車をしてしまったかもしれないと考えると申し訳のなさがこみ上げてくる。
応援するなどとおこがましい言いかたをするわけではないが、せめて正規料金は支払いたい。
「……」
「……」
もう、ずいぶん歩き続けている気がする。
行き先をわからなくするためなのか、貴音は草原の中をつっきるかたちで俺を先導する。
歩調はきわめてゆっくり。
俺が転んだ拍子に目を開いてしまわないように配慮してくれているのだろう。
その思いやりが嬉しい。
遠くから太鼓を鳴らすような音と、鈴のような音が聞こえる。
だんだんとその音に近づいているようだ。
足から伝わってくる感覚が、草原から道路のような固いものに変化する。
人工物の気配だ。
音の反響具合からも、正面になにかが存在するのを感じる。
「着きました」
「……」
貴音が立ち止まり、俺も立ち止まる。
「目を、開けてください」
「……」
目の前にある巨大な建造物に唖然とする。
日本古式の御殿というか、神社の本殿の巨大版というか、とにかくでかい。
この大きさでは、視界に全体像が収まらない。
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