35:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 19:33:25.45 ID:bKqi92pu0
「あなたさ」
「貴音」
貴音の言葉を、遮る。
息を吸って、吐く。
貴音の、目を見る。
目をつむる。
伝えなければいけない。
息を吸って、吐く。
姿勢を、正す。
目を開く。
貴音の、目を見る。
覚悟を、決める。
口を、開く。
「愛してる」
貴音の双眸が潤んだかと思うと、水分が瞬く間に横溢し、そして決壊する。
すぐに貴音の身体を抱き寄せる。
貴音は俺に身体を預け、押さえ込むようにすすり泣く。
頭を撫でてやると、だんだんと息づかいが規則性を失い、荒くなる。
「愛してる、ずっと、今までも、これからも」
俺もちょっと涙声だ。
言い終わらないうちに、すすり泣きはむせび泣きへと切り替わる。
何度も嗚咽を繰り返し、顔は充血する、全身を使って、貴音は泣く。
抱きしめる、愛情をこめて。
抱きしめる、悔悟をこめて。
抱きしめる、贖罪をこめて。
俺の馬鹿。
俺が死にさえしなければ、悲しませずに済んだ。
俺が忘れさえしなければ、悲しませずに済んだ。
俺が求めさえしなければ、悲しませずに済んだ。
全部、全部、全部、俺のせいじゃないか。
どれだけの涙を、流させてしまったのだろうか。
どれだけの時を、一緒に過ごしたのだろうか。
どれだけの愛を、忘れてしまったのだろうか。
どれだけの……
どれだけの……
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