43:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 19:50:48.77 ID:bKqi92pu0
「わたくしは、女です」
「うん」
「女は、愛しい殿方と閨を共にしたいと思うものです」
「そっか……」
どこかで聞いた気がする。
「わたくしだって、ずっと、ずっと……ずっと我慢してきたのです」
緊張をごまかすように、貴音は声を張り上げる。
「……」
「お願い……いたします」
貴音がきゅっと頭を下げる。
「い、いや、俺の方こそ……よろしくお願いします」
俺も頭を下げる。
「……じゃあ、ええっと」
貴音に、ぐっと、近づく。
貴音の上着のボタンに手をかける。
「……あ、あれ……」
しかし、手が震えて思うように動かせない。
「あなた様」
「あ、ご、ごめん、緊張しちゃって」
「いいえ」
「い、いざ目の前にすると、なんか……どうすればいいかわかんなくなっちゃうっていうか……」
震える俺の腕を、貴音の手が、そっとやさしく掴む。
「……一月前のこと、覚えていますか」
あの、俺の、失態。
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