47:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 19:58:46.83 ID:bKqi92pu0
「……」
「……」
貴音が、岩を見つめながら、何も言わず、寂しそうな目をしている。
「貴音」
声をかける。
「……もう……お父様の声は聞こえません」
泣きながら笑うような、笑いながら泣くような面持ち。
「……そうか」
「お父様は最後、わたくしに、いつまでも愛していると……」
「……声が聞こえなくたって、親子だよ」
どこにいたって。
かたちが違ったって。
「……ええ」
ふと思い、俺は岩の方に向かい正座をし、背筋をはる。
「えっと……お義父さん……って呼び方で大丈夫かな」
ちらりと貴音の方を見る。
「ええ、わたくしの父なのですから、あなた様の義理の父です」
穏やかな笑みを浮かべて、貴音は言う。
「わかった」
「はい」
俺は改めて岩の方に向き、居住まいを正し、手を床につく。
「お義父さん」
「今まで、僕は、僕が不甲斐ないばかりに、散々お嬢さんを悲しませてしまいました」
「その罪が消えることはありませんし、絶対に忘れません」
「そして、約束いたします」
「これからはもう、絶対に悲しませるようなことはしません」
「絶対に」
「約束します」
「それを踏まえた上でお願いいたします」
頭を、床につける。
「お嬢さんを、僕に、下さい」
「僕を、お嬢さんに、捧げます」
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