過去ログ - 貴音「こひのとらはれ」
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52:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 20:09:01.17 ID:bKqi92pu0
「子供達に週末と伝えておきました」

「うん、ありがとう」

自分の残り時間は、自分が一番よく知っている。

「少しの間、またお別れだね」

「ええ」

その少しがもどかしいが、仕方ない。

「わたくしも、もう長くはありません」

「うん」

俺たちの魂は一体不可分なのだ。
たまたま二つに分かれて見えるというだけである。
片方が終わればもう片方も終わり、そして……

「貴音は」

「はい」

「人になったこと、後悔してないか」

無論、そんなことはつゆほども疑念に思っていない。

「あなた様は、いけずです」

言うことを聞かなくなった身体の代わりに、口先でちちくりあっているだけだ。

「人の一生は」

うん。

「一緒に泣き、一緒に笑う」

うん。

「時に喧嘩をして、どちらからともなく謝り」

うん。

「一緒に歳を取り、一緒に死んでいく」

うん。

「また始まって、必ずあなた様に出会う」

うん、絶対に。

「なにを後悔しろとおっしゃるのですか」

ちょっと、目頭が熱くなる。
この歳になってもまだ涸れてないってことは、涙を使わなすぎたな。

「俺は、世界で一番幸せだ」

「いいえ」

「俺たち、だね」

「ええ」

「貴音」

「はい」

「これからも、ずっと」

「ええ、ずっと、ずっと……」




をはり。

ありがたうござひました。


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