過去ログ - インデックス「ふて寝もいい加減にするんだよ!」フィアンマ「んー」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2013/09/04(水) 22:33:59.58 ID:hi1Yv7Mg0
命というのは、存外脆いものだ。
多くの死体で作られたベッドに沈み込みながら、フィアンマはそう思った。
未曾有の大事故。
脱線による列車の横転。
あちらこちらから苦しげなうめき声が聞こえるが、それが消えるのも時間の問題だろう。
自分の幸運が呼び寄せた事故なのかどうか、いまいち判別がつかない。
「……、」
動こうとして、思わず舌打ちした。
左足に力が入らない上に、鈍い痛みが走る。
これは折れてしまっただろうか、と思いながら、どうにか右足を軸に立ち上がる。
右側に体重をかけ、ふらふらとしながら壁に手をつき、歩き始める。
「……す、けて」
非力そうな華奢な手が、地べたを這う。
掠れ掠れ、か細く若い女の声が耳に届いた。
フィアンマは少しだけ立ち止まり、死体の下から出た腕を見つめる。
細い腕、小さな手、血色は酷く悪い。どこか怪我をしているのかもしれない。
「………」
助ける義理や必要はどこにもない。
自分の治療を考えるのなら、今すぐここを立ち去るべきだ。
じきに警察等の団体が救助に来るにしても、まだまだ時間がかかる。
仮に今ここで助けたとして、痛みを長引かせるだけで、迎える結末は同じかもしれない。
それを思えば、手を掴むことは怖かった。
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