過去ログ - インデックス「ふて寝もいい加減にするんだよ!」フィアンマ「んー」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2013/09/04(水) 22:34:38.28 ID:hi1Yv7Mg0
立ち尽くす彼の背後の死体の山が、蠢いた。
もぞもぞと動いた後、山の中から一人の少女が這い出てくる。
「けほけほ、」
酷い事故だったにも関わらず、彼女は怪我をしていなかった。
その身にまとう衣服は純白で、高級なティーカップの様な。
教会における必要最低限の機能を抽出した、『服の形をした教会』。
すなわち、『歩く教会』であることを、フィアンマは一目で看破した。
個人で製作したとは思えない出来の霊装だ。首にかけている十字架はローマ正教式らしい。
当然の事ながら、その衣服型の霊装に破れや汚れというものもない。
彼女自身の雰囲気から考えて、恐らく魔術師ではなく魔術に関する特別職だろう。
「あ、よかった、生きてる人が居たんだね!」
彼女はフィアンマの姿を見るなり、安堵した様に微笑んだ。
だが、その碧眼は潤んでいた。泣きそうな顔をしていた。
多くの死体に囲まれた状況で、まだまだ成人には程遠い少女が立っているだけでも本来おかしいのだ。
失神してしまわないよう、泣き出してしまわないよう、彼女は一生懸命に我慢する。
そんな彼女の視線はやがて、フィアンマの足元で蠢く女性らしい手に気がついた。
「引っ張り出すのが難しいんだね。手助けするんだよ」
「俺様は、」
「あなたはそっちを持って欲しいかも」
せえの、と声をかけられ、仕方なしにフィアンマは死体を持ち上げて退ける。
やがて這い出してきた女性は吐き気を堪えながら数度咳き込む。
「あ、ありがとう、ございま、す…」
「怪我、」
白い少女は女性の凄惨な傷口のあるふくらはぎに心を痛めたのだろう。
愛らしい顔立ちの眉尻を下げ、慌てて懐からハンカチを取り出す。
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