過去ログ - インデックス「ふて寝もいい加減にするんだよ!」フィアンマ「んー」
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48: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/09/07(土) 01:24:48.76 ID:0n09HePr0

写真立てを、指先で撫でる。
そこに写っているのは、自分と女性の姿だ。
数年前なので、少し年若い容姿だが。

「………、」

写真を嫌がる彼女に、一枚だけ、と言ったものだった。
デジタルカメラだけは嫌だと言い張った彼女の為に古い方法で撮影したような記憶がある。
過去の事情も相まって、とかく、科学を嫌う女だった。
科学サイドへ復讐するために、何もかもを捨てて『神の右席』へやって来た程に。

「……」

自分は彼女に救われ。
恐らく彼女は自分に救われてくれた。

彼女がいてくれれば、それだけで良かった。
この世界の平和と幸福の潤沢を心から望むことが出来た。
彼女が好きだった。確かに、愛していたのだ。
彼女もまた、自分を愛していた。子供を望む程に。

幸福になれるはずだった。

自分のせいだ。
結局はそこに原点回帰し、より一層の辛さを生み出す羽目になる。
もうこんな不毛な振り返りはやめてしまいたいのに。

「………今でも、空席のままだ。適応者も居ないんだ」

ぽつぽつと呟き。
フィアンマは写真立てを元の場所へ戻し、ベッドに座る。




自分は世界中の人を幸福にしたくて、魔術師になったはずなのに。


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