過去ログ - 瀬名詩織「お久しぶりね、ラプラス」
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1: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 16:42:40.92 ID:WYJExcc6o
「居るかしら?」
ポツリと私は海に向かって小さく言葉を投げかける。
すると、辺り一面にじわじわと真っ白な、全てを覆い隠すような霧が現れる。
「しろいきり、ね」
これが合図。
私はカツカツと堤防の端に向かって歩を進めていく。
そして、それは、長い首を傾げて突然現れる。
大量の海水をぶち撒けながら。
「お久しぶりね、ラプラス」
青い巨体は長い首を私の胸の高さまで降ろして鳴く。
『きゅうん♪』
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2: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:43:12.88 ID:WYJExcc6o
ラプラスは首をもたげて自身の背中へとやる。
「そう、乗せてくれるの…」
私はテトラポッドに足を取られながらもラプラスに近づいていく。
3: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:43:47.86 ID:WYJExcc6o
真っ白の霧の中、少しずつテトラポットと堤防が遠ざかるのが見えた。
「久しぶりね、貴方と海に出るのは」
いつ以来だろう。
4: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:44:39.79 ID:WYJExcc6o
「貴方と会うのもこうして楽しみにしていたわ」
『きゅ、きゅ』
ラプラスは頭を背中の私にも届くような位置へとやる。
5: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:45:15.13 ID:WYJExcc6o
『きゅー』
「本当に、ね」
さあっ、っと強い海風が私の髪を撫でる。
6: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:45:46.57 ID:WYJExcc6o
「…そうね、貴方とそんなにやってることは変わらないかもしれないわね」
手を伸ばして、真っ白な霧に触れるとじんわりと手が濡れる。
「不思議なものね」
7: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:46:13.63 ID:WYJExcc6o
瀬名詩織(19)
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8: ◆yIMyWm13ls[sage]
2013/09/06(金) 16:46:40.12 ID:WYJExcc6o
今日のラプラススレです。
詰まなかったらまた書き溜め投げに来ます。
9:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/06(金) 16:48:28.49 ID:2nVuP0Rt0
乙ー
10:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/06(金) 16:56:15.59 ID:UDdl3nFIo
びっくりしたわ。なんだよこのクロスは!
いい雰囲気だし期待
11: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:17:04.56 ID:WYJExcc6o
「昔は気づかなかったけど今は思うの」
「私の心の中に仕舞っておくだけじゃもったいないものもあるんじゃないかって」
『きゅ?』
12: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:18:09.84 ID:WYJExcc6o
『きゅ!』
「…貴方のこともいつか紹介出来たらいいわね」
『きゅぅ…?』
13: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:18:49.93 ID:WYJExcc6o
『きゅうきゅきゅう!』
「…そうなの」
お神酒。海の神様への捧げ物。
14: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:19:38.36 ID:WYJExcc6o
「…離れるの?」
ラプラスは少しずつ、少しずつ、漁船から遠ざかっていく。
『きゅ』
15: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:20:34.57 ID:WYJExcc6o
「貴方は私を海に連れ出してくれる大切な友達…」
泳げない私を背負って。
私だけじゃ見ることの出来ない景色を見せてくれる。
16: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:21:01.77 ID:WYJExcc6o
『……』
「……」
沈黙が続く。
17: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:21:27.85 ID:WYJExcc6o
「また、会いに来てもいい?」
私は微笑みを浮かべながら問いかける。
『……』
18: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:22:09.69 ID:WYJExcc6o
「なんで……」
何で、何も答えてくれないの。
私の問いかける強い口調を無視してラプラスは進む。
19: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:22:38.68 ID:WYJExcc6o
『…きゅ』
ラプラスはまたしても私の襟首を咥えて
今度はゆっくりと堤防に降ろす。
20: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:23:26.29 ID:WYJExcc6o
―
「詩織、いきなり沖縄に帰りたいって言うから付いてきたがそろそろ限界だぞ」
「もう少しだけ…」
21: ◆yIMyWm13ls[saga]
2013/09/06(金) 20:24:56.27 ID:WYJExcc6o
「…沖縄はいい所だな」
「…えぇ」
「そういや、この間泊まってる民宿の近くのご老人たちとお茶飲んでた時に聞いた話なんだけどな…」
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