過去ログ - 日誌 ロールシャッハ記 9月1日 ヨークシンシティ
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208:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/10(火) 02:50:19.12 ID:4KSwqC1U0

日誌 ロールシャッハ記

1999年 9月X日

雑踏の人間は相変わらず無関心を装っている。
この一週間、奴らの目にとまるほど、街では事件が起きていたにも関わらず。

ニュース・スタンドで新聞を買った。
下水道の爆破、豪雨の中の太陽、破裂した飛行船、
青い超人に、顔のない男。

どれも、その表面をなぞるだけの記事でしかない。

真実を語るのは、スタンドの連中だ。

ニューヨークでも、ヨークシンでも、
その他世界のどの都市であろうとも。

幻影旅団は今のところ、まだ動きを見せていない。足取りもつかめない。
団長にかけられた鎖の対策を練っているのかも知れない。
どの道、対峙すれば再び厳しい闘いを強いられるだろう……

ダニエルのフック銃の修理が終わった。

俺にとって、これが最も信頼すべき存在だった――
――ニューヨークとの繋がりを、確かなものにするという意味でも。

だが、信頼に足るものは他にもある。
この街で、俺はそれを知った。

それはあまりに脆弱な希望だ。
しかし、なくてはならない。

崩れることのないようかき集め、
その存在を強固にする必要があるほどに。


あの歌のタイトルを思い出した。
“都会で聖者になるのは大変だ”。

聖者をヒーローに置き換えれば、事実、そのとおりだ。
ウォルターにとっても、ロールシャッハにとっても、
その他、この夜の下を歩く多くの人間にとっても。

簡単なことではない。だが、苦でもない……



俺は今、その街の頂点から真下を見下ろしている。

墓石のような数々の摩天楼。
人々のあいだを渡り歩く金。
夜空の星を消し去るイルミネーション。
野犬や野良猫どものうろつく路地裏。


そのどこかで、まだ罰さねばならない奴が無数にいる。


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