1:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:20:22.26 ID:JuhLm2Gb0
僕(さて、どこから話そうか)
僕(やっぱりあの女の子と出会った時の話が一番なんだろうな)
僕(そこからが一番調度いいんだ)
僕(僕はそう思うね)
僕(少し長くなるよ)
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:26:04.77 ID:JuhLm2Gb0
僕(あー、今日も海青い)
僕(もう何百回と見てるけど青い)
僕(そこに映る僕の姿は黒い)
3:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:28:18.67 ID:JuhLm2Gb0
僕「おじさん、そんな身も蓋も無い事言わないでよ」
おじさん「身も蓋もあるわい。お前さんは死ぬまでカラスなんだよ」
僕「うるさいなあ、さっさとタバコやめたら?お客さんに迷惑だって」
4:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:29:26.66 ID:JuhLm2Gb0
僕「ていうかいっつも思うけど、何でおじさんは人なのに僕の言葉が分かるの?」
おじさん「前にも言っただろ?俺が海の男だからだよ」
僕「もういいよそれ」
5:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:31:14.55 ID:JuhLm2Gb0
僕「で、今日もお客さんはおじいさんおばあさんばっかり?」
おじさん「ああ、買い出しに来るじじばばの嵐だ」
おじさん「あ、いや違うな」
6:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:33:27.56 ID:JuhLm2Gb0
僕(船に人が乗り始める)
僕(今日の顔触れもいつもと変わらない)
僕(乳母車を押すおばあさんに、透明の袋に野菜を入れているおじいさん)
7:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:35:19.91 ID:JuhLm2Gb0
僕(何か四角くて大きな物を担いでいる)
僕(だいぶ前に、シャシンってやつをとりに来た人も、もう少し荷物は少なかったな)
僕(食べ物を入れるには大きすぎるな)
8:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:36:39.38 ID:JuhLm2Gb0
僕「おじさんおじさん」
おじさん「なんだよカラス」
僕「あの女の子、帽子をかぶって、目がきらきらしてる、不思議な女の子」
9:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:38:12.51 ID:JuhLm2Gb0
おじさん「なんだお前さん、知らないのかい」
僕「カラスが何でも知ってると思ったら大間違いだよ」
僕「で、そのきーなんとかって、どんな食べ物?」
10:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:39:26.86 ID:JuhLm2Gb0
おじさん「まあいい、カラスなんかに楽器は無縁さ」
僕「なにさその態度、教えてくれてもいいじゃん」
おじさん「なら、そのお譲ちゃんに着いて行ってみろよ」
11:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:41:26.46 ID:JuhLm2Gb0
僕(船着き場に着いて、お客さんが次々と降りて行く)
僕(当然女の子もだ)
僕(重そうだなあ、きーぼーど」
12:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:42:58.02 ID:JuhLm2Gb0
僕(よいしょよいしょと、女の子がきーぼーどを運んで行く)
僕(空はうんざりするくらいの快晴だ)
僕(気温は少し下がって、すごしやすくはなったけどね)
13:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:44:18.32 ID:JuhLm2Gb0
僕(公園に女の子が着いた)
僕(何か四角くて小さいものを、ポケットから取り出してる)
女の子「あ、もしもし?」
14:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:45:30.47 ID:JuhLm2Gb0
僕(箱からきーぼーどを出し始めた)
僕(随分とややこしそうだ)
僕(おじさんの歯みたいに、白と黒が混じってる)
15:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:46:42.48 ID:JuhLm2Gb0
僕(向こうから、髪の長い女の子が歩いてきた)
僕(友達なのかな)
僕(友達に会うために、こんな小さな島に来たんだ、この子は)
16:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:50:27.37 ID:JuhLm2Gb0
女の子「♪♪♪」
僕(女の子が何をするかと思ったら、がっきにある白黒の歯に手を当てて、音を出し始めたんだ)
僕(そして、それに合わせて女の子は、一生懸命、歌ったんだ)
17:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:55:15.01 ID:JuhLm2Gb0
僕(でもそれは大きいだけじゃなくて、なんかこう、温かいんだ)
僕(それでいて優しい、不思議な力)
僕(それは、さっき来た髪の長い女の子にぶつかっているみたいだった)
18:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 10:58:57.79 ID:JuhLm2Gb0
僕(僕は、一瞬でその大きくて、温かくて、優しい何かを好きになったんだ)
僕(名前すらわからないのに、不思議なもんだね)
僕(でもさ、どうしても忘れられないんだ)
19:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 11:01:20.79 ID:JuhLm2Gb0
僕「というわけさおじさん」
おじさん「ほう」
僕「鼻くそほじらないでよ」
20:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 11:03:55.17 ID:JuhLm2Gb0
おじさん「ま、俺にはその正体わかるけどな」
僕「なんだよそれ、最初から教えてよ」
おじさん「落ちつけってカラスよ」ごしごし
21:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/10(火) 11:07:26.46 ID:JuhLm2Gb0
おじさん「その答えってのはよ、自分で見つけなきゃ意味がねえ」
おじさん「俺だって、そいつを理解するのに、とんでもねえ時間がかかったんだ」
おじさん「いや、もしかしたら今でも理解できてないのかもしれない」
241Res/90.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。