26: ◆lQzP0htYVdWl[saga]
2013/09/13(金) 14:44:08.03 ID:Srb3bFtoo
階段を一つ登って、左にまっすぐ、一番奥の個室。
『清水谷 竜華』のプレートは、もう確認もしなくなった。
私は慣れた手つきで病室を開く。
「こんにちはー」
「あら、泉ちゃん、また来てくれたん?」
病室にはおばさんが一人、笑いかけてくれた。
「はい、まあ用もないので」
清水谷先輩が事故に遭って今日で1週間。
私は、テスト週間なのも相まって、
授業が終わるとここに直行していた。
「嬉しいわー、怜ちゃんやセーラちゃんもよう来てくれるからねー」
先輩らは、受験勉強の合間をぬってここに通ってるらしい。
船久保先輩は…部長業と模試で忙殺されており、あまり来てはいないみたいだ。
まぁ、来たって話も出来へんしな。
「ほんま…みんな来てくれるんやから、早く、起きればええのに……なぁ」
おばさんは、悲しそうな目で、先輩を見やった。
先輩は左肩の裂傷と、
左こめかみの切り傷以外に目立った外傷はなく、
髪の毛だってあの時のまま、綺麗なままだった。
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