過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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3:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:38:39.53 ID:MAqM1HVe0
 インタビューを終えたまゆは、しぼりかすみたい。

 カフェの窓から射し込む光に頭がくらっとして、思わず表情を歪めてしまいます。

「まゆ、気を抜くなと言ったはずだ。自分が商品だということを忘れるな」

 脱色した金髪に、サングラスを掛けた姿のディレクターが、まゆに耳打ち。

 無言であごを引くと、彼は満足したように頷いて、スタッフさんたちの輪の中へ。

 日焼けした浅黒い腕で、インタビューのメモをしきりに指差し、何事かと騒ぎ立てています。

 おおかた、この言葉が気に食わないから書き直せとか、そういうこと。

 自分のインタビューがいじくり回されるのを、まゆは他人事みたいに見ているだけで……。

 その時、瞳の中に、ふっと、幻の少女の姿が浮かび上がります。

 その子はディレクターに身を寄せて、彼らの輪の中へとごく自然に滑り込む。

 苦い思いが込み上げて、まゆは唇を噛み締めます。

 くるりと、幻の少女が振り返り、まゆに向かって微笑んで。

 ぞくりとした。

 その顔は、まゆ自身とうりふたつ。

 まゆと同じ顔をした、だけど、まゆの知らない佐久間まゆ。

 その子がそこにいるだけで、誰もまゆを見ようとしません。

 まゆの方が幻みたい。

 あなたは、佐久間まゆじゃない。

 心の中で叫んでみたけど、その子はまゆよりずっと、可愛く、綺麗に、笑ってる。

 ぎりっと奥歯を噛みました。

 まゆは、ここにいるのに。

 誰か、気づいて。

 まゆを見て。


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