過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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以下、新鯖からお送りいたします
[saga]
2013/09/12(木) 20:44:50.54 ID:MAqM1HVe0
学校からの帰り道、ディレクターから電話が来ました。
『まゆ、今すぐ事務所に来い。今後の方針について話がある』
「今日は、これから、予定が……」
『お前の予定は聞いていない。言う通りにしろ』
「はい……」
重い溜め息を吐き出し、まゆは自宅とは反対方向の電車に乗り込みます。
まゆが所属する芸能事務所は、実のところ、業界でも指折りの大手です。
そこで働くまゆのディレクターは、豪腕で、自己中心的で、有能な人。
お金を生み出す術を心得ている人。
この人についていけば、きっと名を上げられるだろうという確信があります。
だけど、彼は、まゆが途中で潰れたら容赦なく捨てて行くだろうし、
まゆがぼろきれのようになったって、何ら思うことなんてないでしょう。
それが、少しだけ、寂しい。
いえ……少しでは、ないかもしれません。
事務所に向かう道すがら、蘭子ちゃんに電話をかけてみます。
「もしもし、蘭子ちゃん?」
『闇に飲まれよ!』
電話の向こう、妹と弟の騒ぐ声が背景音として聞こえてきます。
「ごめんね、実は急にお仕事入っちゃって……もう少しゆっくりしてて」
『ククク……焦らされるのもまた一興。下僕たちとの戯れを続けるとしよう』
「ありがとう、ごめんね。また連絡するわ」
事務所に着くと、受付の女性から、第三会議室に行くよう指示された。
「失礼します」
中に入ると、上座にディレクターが腰かけ、それ以外の席には見慣れない人たちがいます。
制服姿のまゆは、恐縮しながら、たった一つ空いた席に腰を落とします。
「さて、主役が来たところで、本題に入りましょうか。資料は既に行き渡っていることかと思います」
ディレクターがサングラスを指で押し上げ、銀歯を見せるように笑いました。
「現在、我が社で専属モデルとして契約している、佐久間まゆのアイドル活動についてです」
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