過去ログ - ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」
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16: ◆tK49UmHkqg[sage]
2013/09/15(日) 02:39:07.47 ID:rUu3+dw5o


「うわっ!わわわっ!」

「エリック、大丈夫?!」

「落ち着け、エリック。AMBACは不完全だ。姿勢制御だけに頼らないで、自律航行システムを連携させろ」

「そ、それってどうしたらいいんだ?!」

「止まらずに、動け。動きながら姿勢を安定させろ」

「わ、分かった」

モニターの向こうで、エリックの機体が不器用に動きやがて姿勢を整えて、編隊に復帰してきた。

「ふぅ…すみません、隊長」

「大丈夫よ、行程にはまだ余裕があるわ。落ち着いて行きましょう」

中尉の穏やかな声が聞こえてくる。エリックも少し落ち着いたようだ。

俺達は、コロニー内での訓練を終えて、今日初めて宇宙空間に出た。遠心力がかかっているコロニーの中と宇宙空間では勝手はかなり違う。もともとパイロットだった中尉や、研究所で訓練を受けてきた俺とは違い、一週間前にモビルスーツに乗り始めたばかりの学徒兵のエリック・デックス伍長には簡単な訓練ではないだろう。

「バッハ隊、良いペースだ。次の撃破目標に迎え」

無線から教官の声が聞こえてくる。

「了解、アレク、エリック、行くわよ」

「…了解」

「りょ、了解!」

中尉のザクFZタイプが先頭を行く。研究所でそこそこの数のパイロットを見てきたが、中尉の操縦はその中のやつらと比較しても上等な部類だと言って良い。鋭く、メリハリのある機動と、力強い旋回性。小隊とは言え、さすが、学徒部隊の指揮を任されるだけのことはある。

「目標視認。前方3時方向」

俺は、研ぎ澄ませていた感覚に微かに引っ掛かったそれを報告した。

「3時方向…?…いた!」

中尉の声が聞こえる。

「一端、下方12時方向へ降下してから攻撃をかけるわ。ついてきて!」

そう言うのと同時に中尉の機体が降下していく。Gが体にのし掛かる。エリックは…ついてきているな。

「上昇する、一気に叩くわよ!」

「了解、エリック、遅れずに、ついてくることだけ考えろ」

「よ、よし、分かった!」

中尉の機体を追って目標のダミー目掛けて上昇する。レーダーが目標を捉えた。

「撃て!」

中尉の合図で俺は操縦捍の引き金を引いた。ザクのマシンガンが火を吹き、曳光弾の破線が目標に突き刺さった。バルーンの目標があっけなく弾けて消える。

「バッハ隊、目標の失陥を確認。良くやった。帰還せよ」

無線から教官の、抑揚のないお褒めの言葉が聞こえた。それとは対照的に

「ふぅー!けっこう行けるじゃない、二人とも!」

という、安堵と嬉しさの混じったような中尉の声が聞こえてくる。別に得意がる気もないが、彼女にそう言ってもらえるのはまんざらでもない。



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