過去ログ - ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」
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3: ◆tK49UmHkqg[saga]
2013/09/13(金) 21:20:20.73 ID:/zOpzK8Q0
「来て」

中尉は俺の手を引いてそのまま、俺が登場する予定だったザクへと飛んだ。

コクピットへ俺を押し込んで、自分も俺に詰め寄るようにして乗り込んでくる。

「いい?危ない、と思ったら、逃げてね。積極的に攻撃なんてしなくていいわ。自分の身を守ることを最優先に」

中尉は、俺にヘルメットを取り付けながらそう言ってくる。何が、緊張して当然よ、だ。

俺は、中尉の手を握り返した。その手もまた震えていた。

「中尉こそ、気を楽に。あいつらは俺が守ります。中尉は、戦場の状況判断をお願いします」

柄でもないのに俺はそんなことを言って、彼女に笑いかけていた。彼女の表情が緩んだ。

「上官を勇気づけてくれるなんて、大人ね」

「俺はもう15です。中尉とは5つしか違わない」

「その差は大きいと思うのだけど?」

「…生意気でしたか?」

「…いいえ、ありがとう」

中尉はそう言うとヘルメットの取り付けの手を休めて、俺に唇を押し付けて来た。

張り詰めて、体温を失っていたはずの唇に温もりが伝わり、モビルスーツの関節用の油の臭いが充満していたはずの空気に、彼女の柔らかな香りが漂う。

どれくらいの時間だったか、中尉は俺から体を離した。

「生きて、また会いましょう」

「えぇ、必ず」

そう言葉を交わして、中尉はコクピットを出ていった。

俺は微かに残った彼女の香りと体温を感じながら、その姿を見送っていた。



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