過去ログ - フィアンマ「それで、いつ結婚するんだ?」オッレルス「げほっごほっ」
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22: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/09/15(日) 13:03:12.52 ID:EnwevT3d0

オッレルスという男にとって。
世界というのは、いつでも作為に満ちたものだった。
今や没落した貴族の出身である彼だが、過去には貴族の一人。
故に、個人がどれだけ抗っても乗り越えられない"流れ"というものを知っていた。

何一つ、自分の思い通りにならない。

人生の最初から最後までを、親や周囲に決められた。
相応しくない趣味は没収され、自分の思う人間関係を構築することもままならなかった。
神様に祈ってみても、何の力もない個人の単純な祈りなど、何一つ奇跡を産まなかった。

『なにないてんの?』
『えぅ、』

あまりにも束縛された現状に、しかしてその幼さでは太刀打ち出来ず。
一人で庭の端で泣いていると、少女に発見された。
彼女はメイド見習いとして、彼の家で働いている少女だった。
年齢はほぼ同じで、その頬には掃除の最中に付着したと思われる黒い煤の様なものがくっついていた。
腰に手をあて、後ろ手に箒を持った彼女は、とても強そうに見えた。

『…あれ? あ、やば。もうしわけありませんごしゅじんさま』

一応、オッレルスも自分の主人の子息なのだから、主人に当たる。
丁寧な言い方をしないのはマズイと思ったらしい彼女は、慌てて清潔なハンカチを差し出しつつ言い直す。
取ってつけたような言い方が何だか面白くて、彼は少し笑った。


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