過去ログ - フィアンマ「それで、いつ結婚するんだ?」オッレルス「げほっごほっ」
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28: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/09/15(日) 13:04:43.80 ID:EnwevT3d0

目の前で震えているのは、小さい子猫だった。
生まれたてなのか、或いは産まれて日が浅いのか。
そのどちらにしても、今にも死んでしまいそうだった。

見捨てることは簡単だった。

でも、弱ったその小さな獣に自己投影してしまうと、どうにも無視出来なくなった。
自分の力で、何一つ決められない幼い生き物。

『ッ、』

気がつけば、子猫を抱え、病院を捜していた。
こんなことをしている場合ではないということ位、わかっている。
一刻も早く魔神になるための儀式を終わらせるべきなのだが、理性とは別の部分で身体が動いていた。

結果として。

『魔神』の座は、オティヌスという少女に奪われた。
子猫の命は助かったが、長くは保たないだろうと医者から言われた。
自分という個人の足掻きが世界の"流れ"には逆らえないことを、忘れていたのだ。


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