過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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655: ◆D4iYS1MqzQ[sagesaga]
2015/02/06(金) 18:03:09.09 ID:WJwczXL3o

彼女は笑っていた。
涼しい春風が吹き込んで、マミの上気した頬を冷やした。
ぶわっと舞い上がる前髪を押さえながら、あくまで窓の外を見ながら、マミは口を開いた。

マミ「鹿目さん……、彼女、なにか言っていた?」

まどかが立ちあがる。その肩にはキュゥべえがおとなしく乗っていた。
陽光の中で微笑むマミの横顔を見つめているうちに、まどかの浮かない顔がにわかに晴れていった。

彼女はマミのためだけを思って毎日見舞いにやってきていたわけではない。
わたしだけがマミさんのことを気遣ってあげられるんだ、という驕りがいつしか芽生えていた。
驕りは徐々に弱ったまどかの心に巣食い、その果てはマミへの独占欲へと至っていた。

しかしいま、二人は春の涼風に吹かれながら、通じあえていた。
まどかには、マミの気持ちが分かった。もう許されているのだと。むしろ自分の方が受け入れられているのだと。
依存などしていない。救ってあげるのでもない。救い合っているのだと。まどかはこう答えた。

まどか「――大したことじゃなかったです」

光の中で、二人はどちらからともなく手を取り合った。向かい合うと、何を言おうとしているかも分かった。
マミはこれから魔女を救うつもりで。まどかはそれを陰から支えるつもりで。しかし多くを語る必要はない。

マミ「――次、行きましょうか!」

まどか「……!……はいっ!」

マミの揺るぎなく力強い宣言に、まどかは一瞬声を詰まらせ、元気よく答えた。
もはや、手を取り合う二人に魔法少女の真実など前提に過ぎなかった。二人はそれを乗り越えて、先を見る。
いずれ魔女になる運命だとしても、魔女と人間、そして魔法少女を救う。その難題に挑む覚悟を決めていた。

マミ「……来たわね」

と、先に察知したマミがちらりと振り向いた先、部屋の入口の扉が外側からバンバンと叩かれていた。
鍵は無いからドアノブを回せば開くはずだが、それも分からない知能レベルの追っ手らしい。
しかし力だけはあるようで、木製のヤワな扉は今にも外れてしまいそうだった。「マミさん!」
「鹿目さん、こっちよ!」マミは部屋の奥にあるもう一つの扉に近づいた。それを開ける。

宇宙船のハッチが弾け飛ぶみたいに、扉は外側に吹っ飛んでいった。
実際、部屋の外は宇宙空間のように真っ暗だった。扉の奥は別の異空間につながっていたらしい。
驚いている暇は無かった。背後の扉がついに破られたのだ。二人は振り返りもせず外へ飛び出す。


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