過去ログ - 苗木「ゲームをしようよ。闇のゲームをね……」
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274:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 04:56:53.37 ID:m1khKCow0
開始してから、どれほどの時間が流れただろう。
様々な扉を開け、階段を上り下りし、曲がりくねった通路を通ってもなお目的の部屋は見つからないままだ。

そもそも、彼の言う"記憶の部屋"が一体どんな部屋なのか、見当すらつかないのに探すなど困難極まりなかった。
まるで、雪原の中に落としたコンタクトレンズを探し出すような難易度だと言っても過言ではないかもしれない。
以下略



275:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 04:58:13.21 ID:m1khKCow0
「……時々思うんだ。もし記憶を取り戻したボクが、今以上にどうしようもなく人に迷惑をかけるだけで、何の存在価値もない絶望的に最低で最悪なヤツだったら、って……」

「いっそ、記憶なんて取り戻さない方が良いのかもしれない……」

霧切「私は……そうは思わないわ」
以下略



276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 04:59:20.67 ID:m1khKCow0
霧切「それでも、謎が解けるなら進むべき…そうでしょう?」

彼女には謎を解かなければならないという使命感があった。
それが、それこそが、霧切響子のアイデンティティだと言わんばかりに。
意志の篭った、力強い言葉に少年は賞賛を送る。
以下略



277:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:00:25.83 ID:m1khKCow0
霧切「あなただって、苗木君と同じ"超高校級の幸運"を持ってるんだから、少しは自分に自信を持ったらどう?」

「そうかな……自分の名前すら思い出せないのに、自信もクソもあったものじゃないよ」

霧切「だったら、手始めに自分で自分に名前をつけてみたらどうかしら?」
以下略



278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:01:05.15 ID:m1khKCow0
「でも、ボクなんかが苗木クンの名前をいつまでも借りているのはおこがましいし、もっと言うと容姿や声を借りているのも申し訳なくて死にたくなるけど、その提案に乗らせてもらおうかな」

そう言うと苗木の姿をした彼は、あーでもないこーでもないとぶつぶつと独り言を始める。
やがて思いついた名前を次々と披露していくが、どうにもしっくりくる名前が浮かばない。

以下略



279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:01:54.51 ID:m1khKCow0

――閃きアナグラム――

ナ エ ギ マ コ ト ダ

以下略



280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:02:33.25 ID:m1khKCow0
「そうだ、苗木クンの名前を並べ替えて、"コマエダ ナギト"なんてどうだろう?」

(勝手に並び替えられて、苗木クンにとっては迷惑そのものかもしれないけど……)

霧切「アナグラム、ね……悪くないんじゃないかしら。でもそれだと、"ダ"が多いんじゃない?」
以下略



281:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:03:49.88 ID:m1khKCow0

「そうかな……そうだよね。"超高校級"のキミが言うんだ。きっと間違いないよ!」

さっきの落ち込み様が嘘のように途端に明るく朗らかになる。
本当に読めない男だ、と霧切は思う。
以下略



282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:04:42.93 ID:m1khKCow0
手袋をしたままの右手が、差し出された狛枝の手をしっかり握る。

「あぁ……ボクなんかがキミと握手させてもらえるなんて。これって"幸運"なのかな……それとも……」

まるで握手会で、憧れのアイドルと握手してもらえた熱狂的なファンのように、恍惚な表情を浮かべる狛枝。
以下略



283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 05:05:36.11 ID:m1khKCow0
それは"友情"だったのか。"結束"だったのか。
それとも"希望"だったのか。"絶望"だったのか。
……今はまだ、誰も知らない。

狛枝凪斗も、霧切響子も。
以下略



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