過去ログ - 【モバマス】「橘ありすの電脳世界大戦」
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13:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/17(火) 18:42:55.23 ID:xpTdZLia0
「橘さん、クリスマスパーティー、どうする?」

 帰り支度をしている時、さほど親しくもない子に話しかけられました。

「私、その日は用事がありますから」

 手短に拒絶して、教室を後にします。

 結局、その日も、私は駅前広場に足を運んでいました。

 手頃な位置に置かれたベンチに腰かけ、今日も今日とて、歌う櫻井桃華を観察します。

 見ていると、櫻井桃華の歌に足を止める人間は、ほとんどいないことが分かります。

 行き交う人たちの多くは、他に目的があって歩いているわけですから、当然です。

 歌ってる子がいるな、ぐらいには思うかもしれませんが、そのまま無視です。

 あれだけ必死に歌っても、九割九部九厘の人は聞いてなんてないです。

 実際、私が来てから、チケットは一枚も売れてません。

 無駄な努力をして、いったい、何になるんでしょうか。

 理解しがたいです。

 櫻井桃華は、ひとときも笑顔を崩さずに、寒空の下で歌っています。

 道行く人に声をかけ、無視をされてしまっても、笑顔でいます。

 仕事だから、仕方なく、そうしているんでしょう。

 何でこんなことしてるんだって、本心では思っているに違いありません。

 世の中はもっとシンプルでいいと、私は思っています。

 嫌なことなら嫌だと言えばいいし、納得いかないことは納得しなくていいんです。

 適当言ってごまかして、いい顔をするなんてのは、保身しか考えてない人のやることです。

 アイドルなんていうのは、自分に嘘をつくだけの、まやかしの存在に過ぎません。

 櫻井桃華は、今でこそ、必死に歌って、笑顔を取り繕っているけれど。

 人の目がなくなれば、どうせ、すぐに化けの皮が剥がれます。

「寂しがりやなんて、言われる筋合い、ないです」

 私は、言いたいことを言って、やりたいことをやってるだけ。

 それでひとりになるのなら、仕方がないことです。

 あなたにそれができますか、できないでしょう。

 櫻井桃華の、輝くような笑顔を、私は遠目からじっと見つめています。


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