過去ログ - 【モバマス】「橘ありすの電脳世界大戦」
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19:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/17(火) 18:46:36.68 ID:xpTdZLia0
 その日も、私は櫻井桃華の歌を聞いて、家路につきました。

 不本意なことに、今の私は、櫻井桃華の持ち歌を完璧に記憶しています。

 あれだけ、毎日同じ歌を聞いていれば、無理もないことです。

 お風呂に入って、さっぱりした私は、ノートパソコンを立ち上げます。

 お茶を片手に、掲示板を眺めていた私の手が、ふと止まります。

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 駅前広場の、櫻井桃華っての、いつまで居座んの。
 うぜーんだけどさ。

 私は、なんだか放心して、じっと画面を見ています。

「……ほら、見たことですか」

 ぽつりと、そんな言葉が喉からこぼれ落ちました。

 所詮、人間なんて、自分勝手な存在なんです。

 あなたが笑顔を振りまこうと、遠慮なく悪意をぶつけてきます。

 凍えそうな寒空の下で、声を張り上げていても、知らんぷり。

 食事もせず、ほとんど休みなく歌っていたって、報われません。

 みんな、無関心なんです。

 誰も、あなたのことなんて見てません。

 あなただって分かっているはずでしょう。

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 あー、見た見た。
 チケット売り、ご苦労さんなことだ。

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 売れてるの、見たことないけどね。
 まあ、なんか、普通だし。
 ちょっと可愛くて、ちょっと歌が上手いだけじゃね。

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 粘ってたって売れるわけないのになー。
 仕事とはいえ可哀想だねえ。
 というか虐待じゃね?

 匿名だけあって、容赦ない言葉が次々と投げ込まれます。

 これには、さすがの櫻井桃華も、こたえるでしょう。

 明日からは、もう来ないかもしれません。

 そうなれば、不戦勝ということになるでしょう。

 私がもう一押しすれば、それがとどめとなるかもしれません。

 ふん、自業自得です。

「アイドルなんて馬鹿げたもの、選んだあなたが、悪いんです」

 私は、睨むみたいに目を細めて。

 キーボードを、叩いて。


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