過去ログ - 妹神「人族を止めてくれ」 姉神「貴女が何とかしなさいな」
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以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/18(水) 11:55:33.09 ID:ocD7F65P0
邪悪な魔族達は、瞬く間に人々を虐殺し、世界を滅ぼして行きましたが、女神の祝福が施された聖都の守りが硬いと知ると、クーアクヤは姉神に陳謝し、話し合いを提案して自らの城へ招き入れました。しかしそれは、姉神の心優しさを利用した、罠でした。
整然とした黒い軍勢が取り囲む城塞の広間で、少女は玉座に腰掛ける姉を見据えた。
天井から吊された巨大な水晶石は、きっと人族が研磨した物。曇り一つ無い加工面は見事であり、正しく導けば、今後も強い力となるだろう。
戦争は既に決した。それが解っているからこそ、姉に和議を申し込まれ、少女は受けた。
予想より早いが、これ以上、無駄な血を流したくもない。
そのはずなのに、眼前の女神は、今もなお不遜な眼差しを、妹へ向ける。
姉神「魔族、だったか。我の人族をベースに、よくもあれだけ高水準な魔翌力を練り込めたものよ」
数年ぶりに聞いた声は固く、敵意に満ちていた。
苦虫を噛み潰し、姉はきつく見据えて来るが、少女が怯む理由は無い。
世界を護るため、多くの命のためにも、少女は引けないのだ。
妹神「私の要求は二つ。人族の開発計画の管理に、私を据えること。そして環境に関する私の言うことを、徹底して貰うことだ。これを呑まないなら、私は炎を以て、世界を浄化する」
少女が命令を下せば、外で待機した軍勢が、一斉にこの城へ火を放つ。
この城塞都市には、人族の知恵を溜め込んだ資料館がある。姉だって失いたくは、無いはずだ。
姉は俯いていた。しかしその口元が、急につり上がる。
姉神 「愚かなり。やはりそなたは、堕ちてしまった。我が妹クーアクヤ。そなたの魂、我が懐で、浄化させようぞ」
妹神「一体、何を言って――」
そこで、自身の胸から剣が生えると、溢れて出た血塊が喉を塞いだ。
呪文の詠唱が最後に聞こえると、視界が霞み、意識が急速に塗り潰されていく。
水晶に魔方陣が展開されていたのが見えたが、そこまでだ。倒れ伏した小さな体から、赤い水たまりが広がっていく。
少女の骸の前で、姉神は高らかに笑った。そこで、少女を刺した人族の男が口を挟んだ。
人族王「ヒュドミッテ様、まだ終わってはおりませぬ」
姉神 「おお、人族王。よくやりました。そう。もう二度と、このような暴挙を起こさせないわ。早速、妹の魂を我が懐で浄化しましょう」
人族王「はい、もう二度と、このような暗君に世界は任せられませぬよ」
刃が一閃すると、振り返ろうとした姉神の首が飛び、断面から血を噴出させた体が重力に引かれて崩れ落ちた。
再び展開された水晶石の魔方陣が光の塊を吸い込むと、男は首無しの死体に恭しく頭を垂れて、嗤う。
人族王「しかしご安心下さいませ、これからは、我々が世界を動かしてみせましょう」
邪神の残虐非道な謀略にも屈せず、女神は世界を守るため自ら剣を取り、見事、邪神を討ち滅ぼしました。
しかし女神もまた深い傷を負い、世界の全てを人族の王に託すと、永い眠りにつきました。
そして最後の祝福を受けた人々は、慌てふためく魔族共を東の世界へ追いやり、世界は平和な日々を取り戻しました。
めでたし。
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