過去ログ - モバP「遥か時の彼方 まだ見ぬ遠き場所で」柑奈「唄い続けられる 同じ人類のうた」
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49: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/09/29(日) 13:52:00.63 ID:fKRX6K8m0

 柑奈は固まっていた。
 流れるべき音楽が流れない。ステージは無音のまま、時が過ぎてゆく。

(え……なに……? なにが……?)

 ニュージェネレーションの3人に緊張をほぐされたとはいえ、初めての大人数を目の前にしての披露目の場。
 さらに予定外の事態が重なって、柑奈の精神は恐慌しはじめる。
 不自然な空白に戸惑い始める観客が、得体のしれない蠕動に見えてきて、彼女はぴたりとも動けなくなった。

(そんな……わ、私……ど、どうしたら……ぷ、プロデューサーさん……へ、ヘルプ……!)

 その時だ。ギターの音色が、どこからか流れてきた。
 このステージの大きさに対しては、小さめの音量……だが、確かに聞こえている。

(……プロデューサーさん!)

 柑奈が音の出所を探し……ふと舞台袖を見ると、何かの機械の前でギターをかき鳴らすプロデューサーの姿が見えた。
 助けが、来た――その事実に、柑奈の心は落ち着いた。

 もうすぐ前奏が終わる……柑奈は少しだけ上を向いた。澄み渡る様な青空が広がっていた。
 そうして、目線を観客に戻す。晴天だから、皆の顔がよく見える。
 ギターの音色に耳を傾ける者、このまま続くのかと不安げな者、はやくニュージェネ出てこないかなと言わんばかりに退屈そうな者――

 そうした一人ひとりを前にして。
 柑奈は――心を届けるべく、歌いはじめた。



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