過去ログ - まどか「安価で1レスSS選手権!!」part9
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100:よく分からない[sage saga]
2013/09/27(金) 22:47:05.82 ID:wE8mBAQ80
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受け身も取れず仰向けに倒れて、ようやく私は自分が限界なのだと悟った。

地面に吸い取られていくように、私の中にあったものが消えていくのが分かった。
耳障りな魔獣の声が聞こえなくなり、口の中から鉄の味が薄まり、土埃の匂いは消えた。
白く滲む景色が走馬灯を移すスクリーンにならないよう、ゆっくり目を閉じ暗闇の世界へ。

だが、他の感覚が無くなっても、体中を巡る痛みはもう断てない。

そんな余力はないのだ。

あぁ、せめてこの手が冷える前に、もう一度でいいから、あの子に触れてみたかった―――。





世界は、時が止まったように静かだ。

勿論それは私の感覚が全て無くなったからそう感じるだけなのだろうけど、私はつい懐かしい世界に引っ張られる。

……。

今、何か聞こえなかっただろうか?

あるいは私の心の声を錯覚しただけなのだろうが、それにしては可愛らしい声だった。

……。

どうしたことか、急に私の左手が暖かくなった気がする。
頬に水が打ちつける冷たさを感じる。
なんだか私の思い出の一部が甦っている気さえして、どうやら走馬灯というものは、見える物だけではないようだった。

いつかの世界。

どこかの時間。

壊れかけた私を支えてくれた、微かな手の中の暖かさ。
そう、もう一度触れたかったのは、こんな感じの―――。





あぁ、そうか。

この手に感じているのは、あの子なのね。

これが神様の粋な計らいというものなのかしら?

それとも神様の自演だったりするのかしら?


どちらにしても、私がこの手に向かって言う言葉は決まっていた。


「また会えたね」


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