過去ログ - オリジナル小説【現代ファンタジー】
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32:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:01:17.28 ID:FkLb1xlW0
「さて、そろそろ本題に入ろう」
「少しは反省してくださいね?」
メロがアレックを鋭い目つきで睨みつける。
「ははは、エラメクちゃんよりメロちゃんの方が怖いんじゃないかなぁ……」
アレックの額からは微かに冷や汗が垂れていた。
「で、何の話でしたっけ?」
マートの方も、冷たい声でアレックに催促する。
だいぶ時間を取られてしまったからか、いらついているようでもあった。
「マザー説云々……までは話したね?」
「はい……」
「ここで仮に、マザー説が有効だとする。それを、合成獣の性質と照合すると、ある疑惑が浮かびあがるんだ」
「疑惑? なんのですか?」
なにか、不穏な空気を感じる。
マートはそう思って、本当に真剣にアレックの話を聞くことにした。
「合成獣はあらゆるものを吸収して、自身の力とすることは知っているよね?」
「あいつらの最大の特徴ですね」
「……合成獣は今、結界によって閉じ込められているが、『町』の外に出たなら、さらに吸収対象が増え、ネズミ算式に膨大化していくだろう」
「それで、マザー説とどう関係があるんですか?」
「マザーがいるならば、いくら子を叩いたところで意味はない」
「そういえば、そうですけど……」
「マザー説が否定されるのには、そういったたぐいの理由もある。魔術士の戦いは、ただの徒労なんじゃないかってね。
ならば、なぜ魔術士は戦いに向かう?
そこには、マザーのなにか黒い影があるんじゃないかってことさ。
上の方もなんか怪しいんだよねぇ。
……まぁ、あくまで僕の憶測だから、気にしない方がいい。
今日は姉妹の時間を邪魔して悪かったね。じゃあね」
アレックは一瞬だけ、本当に申し訳なさそうな表情をしてから姉妹の横を通り過ぎた。
「……ふぅ。帰ろっか、メロ」
「うん……」
刻一刻と、運命は迫っている。
歯車の様子など、気にもかけずに。
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