過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part7
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◆UCaKi7reYU
[saga]
2013/09/29(日) 21:35:30.83 ID:1rKQFK7V0
―――アンティークショップ「ヘルメス」
「……まぁ、これでいいでしょう」
店の奥、錬金術の工房に閉じこもっていた雪乃は深く息を吐くとゆっくりと体を伸ばす。
その彼女の周りには作成されたばかりの魔道具―――とは言っても主に一般生活向けに作られた物だが―――が所狭しと並べてあった。
「簡単なものとは言え、さすがにこの量は疲れますわね…あら、いつの間にか切らしてしまいましたか」
喉を潤そうとそばに置いてあったティーポットを手に取るが軽く、中を見てみればなみなみと入っていた紅茶が底をついていた。
「…仕方ありませんか、朝からずっと作り続けていましたものね」
窓から差し込む光はオレンジ色で、時刻が夕方であると雄弁に語っていた。
そもそも、なぜ彼女がそこまでして大量に一般向けの魔道具……言い換えるなら魔導雑貨を量産しているのか。
その答えは、今回の秋炎絢爛祭……正確にはその開催地にあった。
「ふふ、学院からの頼みとは言え少し気合を入れすぎましたわね」
―――『京華学院』
それが、今回の祭りのメイン会場であり、同時に雪乃の大学時代の母校でもあり、さらに言えば国内最大規模の教育機関でもある。
その学院から直々に、今回の絢爛祭で店を出してみる気はないかと誘われたのだった。
そしてその誘いを二つ返事で受けたからこそ、雪乃は今現在工房に引きこもる生活をしているのであった。
「ふふ、私もまだまだですわね…この季節になるといつも胸が高鳴ってしまいます」
そうして、もはや板に付いてきた経営者としての顔と錬金術師としての顔、その両方を満遍なく出すために雪乃は紅茶を飲みに行くのであった。
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