7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/09/22(日) 17:35:44.21 ID:2LQWz22w0
次に僕が目を覚ましたのは、父さんがすべて料理を並べたあとだ。
「帰ってたのなら言ってよ」と僕は少し不満を漏らし、言った。
すると「最近、疲れてるみたいだから」と父さんは笑って言う。
「お前のことだから、寝てるだろうって思ったし」とも続けた。
何とも見透かされやすい性格をしているのかもしれない。残念だ。
父さんの料理は何だか味が普通の味なのだが、それでも美味だ。
家庭の味、と言うのか。どうにも、変えるつもりはないらしい。
料理を口に運びながらも「そういえば」と切り出して、言った。
「そういえばさ、父さん、疲労で倒れたとこだったはずでしょ」
「うん。ま、大丈夫だったけど。病院にはあとでお金を払うよ」
「それは当たり前だけど。大丈夫なの? 仕事も出られるの?」
「大丈夫」を繰り返すばかりの父さんは、明らかに疲れている。
あの日から。そう、あの日から、ずっと父さんは憑かれている。
今もずっと、気付かれないように窓の外をちらちらと見ている。
「ねえ。そこには誰もいないよ。ちゃんと鍵もかけてあるんだ」
「うん。そうだな、いや、ちょっと、虫が飛んでた気がしてさ」
「いるとしたら、せいぜい、この時間を邪魔するおじゃま虫だ」
そう、適当に答えを濁しておいた。
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