過去ログ - 盲目幼女「お腹が空いてるの?」狼「気にするな、もうすぐご馳走にありつける」
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2013/09/23(月) 22:23:35.14 ID:Z+ZcL0Ap0
翌日も一人と一頭は歩いた。
太陽が再び沈みかける頃、森が急に開けたその場所に、朽ちた神殿が現れる。
幼女 「ありがとう。ここまで来れば、大丈夫。これで私も、お役目を果たせるよ」
オオカミ「それは良かった」
これで、こちらも心置きなく喰えるものだ。
胃袋がキリキリ痛む。もう限界だ。
少女の柔らかい肉も、そろそろ食べ頃だろう。
どこから喰ってやろう、考えるだけで涎が零れる。
すると、少女が唐突に問うた。
幼女 「右足で良い? それとも腕の方が好みかな?」
一体、何を言っているのかと、オオカミは呆気にとられた。
そして娘は寂しそうな表情を浮かべ、オオカミを見つめた。
視線を合わせて、しっかりと、オオカミを凝視≠オたのだ。
幼女 「ごめんね。実は少しだけなら、見えるんだ。オカさんが狼だということは、最初から知ってたの」
オオカミ「……狼と知って何故、俺を撃たなかった」
幼女 「この銃に込められた、一発だけの銃弾は、こう使うからだよ」
娘が撃鉄を上げた銃口を、自らのこめかみに付けると、オオカミは絶句した。
幼女 「魔物に家族を殺され、村の荷物でしかない私は、神への供物に選ばれました。どうぞ私の一部を引き裂き、お持ち下さい。それがオカさんへのお礼です」
オオカミ「待て、ならばお前は、命を捨てるために、ここまで生きたのか」
幼女 「はい。お兄ちゃんに似たオカさんのお陰で、ちょっぴり懐かしかったよ。それじゃ、ばいばい。いつまでも元気でね」
銃が吼えて血飛沫が飛ぶと、握られた銃口から硝煙が昇る。
その赤い雫を頬で受けた娘が狼狽しながら見上げると、右耳を吹き飛ばされた狼が、少女を組み敷いていた。
オオカミ「おい小娘、勘違いをするな。俺がお前を喰いたいのは、憎いからでは無い。お前の命で、俺の命を繋ぐためだ。繋ぐ前に、絶ってくれるなよ」
幼女 「ならどうすれば。村は私を、疎み、蔑み、暴力を振るい、私は誰が私を犯したのかも判らない。もう嫌だよ。私はやっと楽になれる。兄にも会える。それなのに――オカさんが、私を殺してくれる?」
オオカミ「馬鹿者が。命は生きようとするから、価値がある。見ろ、この先をさらに三日進めば、外の世界だ。人の感覚では無理だろうが、俺が案内すれば、抜け出せる」
幼女 「私を、食べてくれないの?」
オオカミ「俺は誇り高きオオカミだ。お前みたいな粗末な命を喰って生きながらえるほど、落ちぶれちゃおらん。お前がどこでのたれ死ぬのは、勝手だ。だが、この森では死ぬな。ここに生きる者は皆、誇り高い。お前の亡骸で、汚してくれるな」
激痛は後からやって来た。鼓膜も一緒に破れ、右は完全に聞こえない。
だが自分は誇り高きオオカミだ。死ぬために差し出された餌を貪る畜生では無い。
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