42:律「うぉっちめん!」 [saga sage]
2013/09/25(水) 15:25:48.88 ID:yFOnK56a0
2015年2月。いつものレコーディングスタジオ。私と律と梓の三人。お茶もお喋りも無い。
私達は、次作の5thアルバムのミーティングをしている。
笑う理由も見当たらないので、三人共、特に笑顔は無い。
仕事の話をするのだから、当然と言えば当然なのかもしれない。
私はノートに眼を落としつつ、必要な事を話す。
澪『次のアルバムの発売予定日は5月20日、先行シングルが4月19日。アレが抜けたから
いくつか録り直しが必要だけど、まあ、曲目とか基本的なところは変更無しだから』
梓『……』
律『……作詞、作曲、ボーカル、全部お前ってのも変更無しか?』
澪『ああ。何だよ、曲作りやボーカルやりたいのか?』
律『そうは言わないけどさ。一応、バンドだろ? 私ら』
澪『ここまで来て、アレがいた頃まで話を蒸し返すのか? 何ならキチンと理由を説明するぞ』
律『いや、もういいよ……』
澪『理由その1。お前らに作曲能力が無い』
律『はいはい、そうだな』
澪『理由その2。梓、お前は歌が絶望的に下手過ぎて、ボーカルを担当させられない』
梓『……!』ピクッ
澪『理由その3。ドラム叩きながら歌うって、何の冗談だよ。C-C-Bみたいなのは御免だぞ』
律『お前、それC-C-Bに失礼だろ。それにドン・ヘンリー、ディスってんのか』
澪『いいか。私にリーダーシップを委ねて本当のトップバンドになるか、アイドル人気の
ガールズバンドのままでいたいか、どちらか選べ。話はそれからだ』
律『それに関しちゃ、もういいって言ってんだろ』
梓『……』
澪『よし。じゃあ、再収録のスケジュールとしては――』
律『ただ、さ』
澪『何だよ!』イラッ
律『先行シングルの発売日が4月19日って、唯のソロデビューシングルと被ってんじゃん。
これはどういう事だ』
澪『知らないよ、そんなの。事務所とプロデューサーとレコード会社に文句言えよ』
律『お前、そこまでして唯を叩き潰したいのか? 元の仲間だし、脱退はしたけど同じ事務所
なんだぞ』
澪『知らないって言ってるだろ!』ガタン
律『じゃあ発売時期をずらすくらいはしろよ! それくらいの気も遣えないのか!』バァン
梓『あ、あの……』オロオロ
澪『何でこっちがそんな事しなきゃいけないんだよ! いちいちアレの都合に合わせてられるか!』
律『唯をアレ呼ばわりするな! いい加減にしろ!』ガシッ
澪『私の勝手だろ! 何だよ、この手は! 離せよ!』
梓『二人共、もうやめてください…… ぐすっ……』ポロポロ
激昂する私と律。怯えて涙を流す梓。
思えば、この頃からだった。こんな光景がお決まりになったのは。
この頃から、三人になった放課後ティータイムの終焉まで。
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