過去ログ - 律「うぉっちめん!」
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81:律「うぉっちめん!」[saga sage]
2013/09/25(水) 17:18:56.19 ID:yFOnK56a0

澪「ど、どこに行くんだよ」

律「世間に真相を明かす。唯の死の、すべての真相を」

澪「ムギの話を聞いてなかったのか? もう、そんな単純な問題じゃなくなってるんだよ」

律「自分の所業を闇に葬れる大義名分が出来て、ホッとしたか?」

澪「ムギも言ってたろ! 唯を、皆が好きだった唯のままで逝かせてやるには、これしか方法が
  無いんだ!」

律「フン…… 今更、人間性に目覚めたのか? 都合のいいこった。最初から唯と、いや、
  唯に映った自分自身と向き合っていれば、こんな事にはならなかったのにな」

澪「……!」

律の言葉が澪の胸に突き刺さり、それと同時に涙がポロポロとこぼれ落ちた。
自分でも薄々は気づいていた。いや、はっきりと自覚していたのに顔を背け続けてきた。
すべては手遅れだ。手遅れになるべく、時を過ごしてきたのだ。

澪「ダメなんだよ、律。唯はもうダメなんだ…… 私とムギが、唯を……」

そこへ、梓が割って入った。
止めなければならない。このままでは、ここにいる四人が共倒れになるだけだ。

梓「落ち着いてください、律先輩。ここは冷静にならないと。真実を公表すれば、ムギ先輩以外の
  有力者達が一斉に私達を抹殺しようとしてくるんですよ」

律「……私は唯と約束したんだ。血塗れの唯と。必ず真相を暴くって」

もう律は、梓を見てはいない。澪も。紬すらも見てはいない。
見えているのは、見る事が出来るのは、唯の顔らしき真っ赤なロールシャッハ・カードだけ。

律「だから絶対に妥協しない。たとえ、偉物共に殺されようとも。たとえ、放課後ティータイムが
  壊れようとも。たとえ――」

強く握り締められた律の拳が僅かに震えていた。

律「――唯が、穢れようとも」

紬「行かせる訳にはいかないのよ。りっちゃん」チャッ

声の方へ澪と梓が顔を向けると、そこには口径の小さい旧式の回転式拳銃を構えた紬の姿があった。
銃口はこちらへ、厳密に言うと律の方へ向いている。

澪「お、おい、ムギ、銃なんて……」

梓「ムギ先輩、やめてください……!」

律「そうか……」

一言呟き、律が振り向いた。

紬「私の力は、どんな人間も変えられる、どんな人間も操れる、と思っていたわ」

紬の手でゆっくりと拳銃の撃鉄が起こされると、梓と澪は反射的に律から飛び退いた。

紬「でも、唯ちゃんと、りっちゃんは……」

律「ムギの創り上げた放課後ティータイムを守らなきゃな。それには、メンバーの死体が
  もうひとつ必要なんだろ?」

左手がニット帽を掴み、頭から乱暴に取り去った。
バサリと顔へ落ちる皮脂で汚れた前髪。
続いて右手がサングラスを外す。
そこに狂気に光る眼は無かった。あるのはただ溢れそうな程に涙を湛えた弱々しい瞳。

律「どうした? 何をためらってる……」

紬「……」

律「さあ、やれよ……!」

震える声。隙あらば漏れ出ようとする嗚咽。
一筋の涙が律の頬を伝い、流れ、落ちた。

紬「……」


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