過去ログ - 【オリジナル】乙女合体ガチユリダー
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171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2013/11/04(月) 13:25:52.52 ID:tJUW+OWo0
 私は、そこにあった。
 まるで虹色の粒が作り出した虹の雲が漂い、大樹のように無数に枝分かれした同色の塔が無数に連立する空間。

 塔の中をのぞくと、そこには『世界』と『生命』があった。
 『生命』は願いと観測によって可能性の力を無意識に使い、『世界』はそれを記憶して塔を形造った。 私たちは本能的に理解する、この空間はそうやってできた『無意識』の領域であることを。

 その空間には私のほかにも、複数の存在があった。
 竜や妖精や鬼や悪魔といった形は人類の想像力の数だけ存在し、同数の生き方を取捨選択していた。
 彼らは塔を見守り、あるいはどこかの塔に入り込んではその中の生命に力を貸す者もいた。

 わたしも、そうやって一つの塔を(この空間における『上位の時間』において)長い間見守っていた。
 しかしある日ある時だった、誰かと目が合った気がした。
 ありえない、私たちの空間は塔の中にいる存在には本来知覚できないものであるはずだ。

 しかし……もう一度そこを見た私は、確かにその少女と目が合った。
 そして、引きずり込まれた。

「うわ、わわわああぁぁぁぁぁぁ…!?」ドテン ゴロゴロゴロ

 引きずり出された板の間を転がって、壁に背中を打ち付けて止まる。
 まっさかさまになった視界に移ったのは、トントンとこちらに向かって駆け寄ってくる緋袴と黒いブーツ。

「な、何なんこの子!?大丈夫、怪我してへん!?」

「あなた…!!まさか本気で成功しちゃったの!?」

 ごろんと転がって上下をまともにすると、私は白い髪を書き上げてこの二人に尋ねた。

「…おぬしら何をした?此処は何処じゃ…」

「あ、怒ってるわね?…まぁ、上位次元からいきなり引きずりおろされたらねぇ」汗 イヒヒ

「なんじゃと…ここは、あの塔の中か?……妾が入ったのは初めてじゃ…」ボソ

 改めて両手を見る、幼い女子の両手…どうやら自分は人間のそれに近い生命としてこの次元に固定されたらしい。
 神棚の鏡を見ると、そこには白い髪に紫の瞳をした自分が映し出されていた。

「あの…あなたは、燕小角売神でしょうか…?」

「名前など妾にはない、勝手に呼べ…おぬしらは?」

綾乃「私は明・綾乃。この子にあなたを引き出す方法のヒントを与えちゃった魔法使いねぇ♪」イヒヒ

 綾乃……今とは違う名前を名乗った女性に続き、彼女が肩をたたいたのは巫女装束に身を包んだ黒髪の少女だった。


八重架「私は…こほん、燕糸・八重架いいます。よろしゅうな、かみさま♪」ニコッ




 32年前 2006年。

 まだ、科学の中にその学問が含まれていなかった頃…『可能性の力』が引き起こす現象は魔法や超能力…あるいは神の奇跡といったオカルトと認識されていた。

 人の世に隠れて研鑽した魔法の理論を後に詩実体論という科学体系として完成させる魔女…綾乃。
 綾乃と出会い、その強い審神者の力を開花させた少女…八重架。
 そして八重架に神として呼び出され、人間としてこの世界に居続ける…容呼。

 彼女たちの奇妙な関係は、それから一年後…八重架が殺されるそのときまで続くことになる。



第7話『そして来るは罪の残滓(前篇)』


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