27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/09/29(日) 08:37:19.34 ID:kxsERtxX0
猫はおれの質問が聞こえたのか聞こえなかったのか、興奮したように叫んだ。
「うわぁ、本当にまっしろだ!きれいだなあ!」
そして緩やかに振られていたおれのしっぽに目を止めると目を輝かせる。
飛びつきたい、とでもいうように。
前足がうずうずしているのを見て何だかおかしくなる。
おれはひとつせきばらいして、もう一度きいてみた。
「そのヴァイスって名の狐なら3年前の冬に死んだ。 ここに何しに来た?」
「だからあんたに会いに来たんだって!・・・あっ、あなたに会いに来たんだよ、
じゃなくてきたんです」
さっそく口調が剥がれだしている。これだからガキは。
「仲間にはヴァイスが裏切り者じゃないってことなんかとっくにわかってる、ます。
ちょっと匂いを嗅げばすぐわかるのに、人間ってほんと鼻がきかないから 」
ほぅ、猫もちょっとは鼻がきくのか。そんな風に思われていたとは意外だった。
「・・・おれががマヌケだっただけのことだ。
おれは人間にとって裏切り者でしかないし、それでいい。
用がないならもう帰れ、喰っちまうぞ 」
ちっぽけな猫ふぜいがおれといるのを人間がみたところでたいしたことにはならないだろうが、
この辺には狼もいるし、おれは昼寝の続きがしたかった。
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