過去ログ - 落とし胤の一夏「今更会いたいとも思わない」
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◆vc6TpLHdOs
[saga]
2013/10/05(土) 11:43:56.35 ID:vMP5JNPt0
一夏「この小包みは?」
爺様「包みを開けてみよ」
シャル「…………札束? 日本円の?」
爺様「100万ある」
一夏「小切手とか電子マネーで生活していたせいで初めて見たけど、意外と――――――」
シャル「――――――薄い?」
爺様「そう、確かに薄く見えるかもしれんが、それを手にするのに普通の人は数ヶ月も働き、または人を欺き、犯罪を働く者までいる……!」
一夏「100枚“しかない”と考えるか、100枚“もある”と考えるかで重みが変わってくるな…………」
シャル「そうだね。そこが大きな違いだね」
一夏「だけど、ハイパーインフレを引き起こした戦前のドイツのように、ベビーカーに大量の札束を載せても紙くず同然にもなるんだから、」
一夏「カネの自在性と魔力は恐ろしいものがある。俺が“世界で唯一ISを扱える男性”と報じられただけで円高になるぐらいにね」
一夏「それだけに、心の弱い人間ほどカネの魔力に魅せられてしまう…………カネが“ある”か“ない”かで世界が大きく変わる」
シャル「…………そうだね」
爺様「――――――財が溢れるほど人間は本来の姿を失う」
爺様「お前はそのことがわかっているようだな」
一夏「」コクリ
爺様「ただ忘れてはならないことがある」
爺様「――――――財の価値は生き様の価値と同じだということを」
一同「――――――!」
爺様「よく覚えておけ」
爺様「財は力――――――、矛と盾、あるいは剣と鞘だ」
爺様「――――――財は人を生かし、財は簡単にその人生を断つ」
爺様「税金の匙加減で自殺者が増えたり減ったりするのを考えれば、よくわかるだろう」
爺様「そして、お前が手にする『零落白夜』の光の剣には我が財閥の未来だけでなく、世界の命運をも左右するだけの力がある」
一夏「…………」コクリ
シャル「…………」ゴクリ
爺様「だが、己の責務を全うするのにその道はあまりにも過酷だぁ」
爺様「――――――ここからが大切なことだ」
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