過去ログ - 落とし胤の一夏「今更会いたいとも思わない」
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90: ◆G4SP/HSOik[saga]
2013/09/28(土) 12:01:26.23 ID:5H8gBlq40

――――――それは神速だった。疾風だった。迅雷だった。

あの“ブリュンヒルデ”が剣を抜く前に織斑一夏は青筋の光の剣で逆袈裟斬りで下から上に斬り裂いたのである。

そう、この織斑一夏にとって、“ブリュンヒルデ”と呼ばれていた頃の織斑千冬など相手にもならないぐらいだったのである。

その一方で、織斑千冬も成長し続けており、“ブリュンヒルデ”を超えてさえいる織斑一夏に未だに遅れを取ることがなかった。

織斑一夏は戦闘の天才というほどではなかった。ただ財閥の力を利用して効率よく状況に特化した訓練を積み重ねていただけにすぎない。

それ故に、咄嗟の機転や智謀で相手を打ち負かすようなことや、相手の機微や弱点をその場で見抜いて本能的に対処するような器用な真似はできなかった。

言うなれば、この織斑一夏は戦略・運用管理の天才とも言うべき存在で、ある目的に沿って効率よく成果を出すことに長けていたのである。

そういう特長の持ち主故に、財閥に入って数ヶ月で“ブリュンヒルデ”を超えるという目標はすでに達成済みであった。

つまり、一夏にとってラウラが目指していたものなど滑稽でしかなかったのである。

しかし一夏は、浅く斬り裂いたスキンから力無く倒れこんだラウラを優しく抱き抱えた。

経験者である一夏はよく知っていた。


――――――事件は終わった後から心を縛り上げていくということを。


終わってから気づく事件の影響力。自分の立ち位置、実力、悲哀…………

ここからがラウラにとっての本当の戦いとなってくるだろう。

だから、せめて疲れきって倒れこんだ今だけは良い夢を見られるようにと、優しく抱き寄せて、鼻栓を付けてあげるのだった。


――――――腐卵臭をこらえて!





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