785: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:16:32.02 ID:yX8CGCHs0
「例えそうだったとしてもそんな状況はありえないでしょうね、あんな醜悪な形相をした怪物に誰が好意を抱き、示せるでしょうか? 鎖で全身を余すことなく縛り付けられていなければ近づくのだって御免です」
「しかし話によるとあの怪物は人間と交流を持っていたらしいじゃないか? 信じられんなあ」
「どうもその人間というのはあの学者らしいですよ、あの変わり者で有名な」
786: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:17:14.86 ID:yX8CGCHs0
―実験室―
「さて、着きましたよ。この部屋からなら怪物の姿が見えます。あの強化ガラスの向こうです」
「おお、これが……。ふむ、ここからだとよく見えんな、全身を観察してみたいのだが何か映像はないのかね?」
787: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:18:02.11 ID:yX8CGCHs0
「っ……、今の声は…ぐう、頭に響く」
「すみませんね、どうにもあの音は空気を媒介にしているわけではないようなので通常の防音設備では意味がないのですよ。どうしても辛いようでしたらあの怪物から単純に距離を置けばいいようですが」
「いや…我々科学者という生き物は知的好奇心には逆らえない、ここで見物させてもらおう。今しているのは研究材料の採取か?」
788: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:19:13.40 ID:yX8CGCHs0
―1週間後―
「そうか、成功したか…」
「はい、ラットを使った実験結果では例え分子レベルで分解されても蘇生したようです。また病原体に侵されたラットの場合、病原体そのものの死滅、いえ消滅を確認しました。さすがに人体実験はまだですが」
789: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:19:55.97 ID:yX8CGCHs0
―保管室―
ピッ、ウィーン
「(……カードキー1つでこんな価値ある場所に出入りできるというのは如何なものだな。まあそこらの研究員のカードキーでは無理なのだが)」
790: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:20:52.66 ID:yX8CGCHs0
―副所長室―
「やあ職務中に呼びつけて申し訳ない」
「いえ……一体なんの御用でしょうか?」
791: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:22:15.66 ID:yX8CGCHs0
「…………」
側近「何を悩んでいるの? うーん、まず君達は愛する人に先立たれることは耐えられないとかそんな腑抜けた事を抜かす人達じゃないよね、死別の悲しみなんて実際は"慣れる"だろうしね。他には限りある命だから人間は頑張れるっていうのもあるけど、そんなの期限を誰かに設定してもらわなければ動けない怠惰な人間の言い分でしかないと思うんだよね、君はどう思う?」
「…その点は、私も概ね賛成です」
792: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:23:21.90 ID:yX8CGCHs0
側近「……制限時間はあと1分だ。その間に飲まないなら残念だが次の候補者にこのチャンスを渡すことにする」
「……わ、私は。私は……」
側近「後悔しない選択をしてくれよ? 間違っても選択しないっていう最悪の選択だけはしないでくれよ?」
793: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:24:08.68 ID:yX8CGCHs0
♪魔法使いが縋るもの
―実験室―
側近「やあやあご気分はいかがかな怪物よ?」ピッ、ウィーン
794: ◆yJ9Y64R876[sage]
2014/06/22(日) 20:26:04.14 ID:yX8CGCHs0
今日はここまで、次回は♪目覚め
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