845: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 02:00:55.60 ID:25c1NsJp0
―実験室―
竜『(あれからどのぐらいの時間が経ったのだろうか)』
竜『(永劫にも刹那にも感じられる、最早俺の中の時間は狂いきっている)』
竜『(いっそ身も心も狂いきってしまえば楽になれるのかもしれないがこの体と精神は案外丈夫に出来ているらしく、今もなお度重なる苦痛に鋭敏に反応する。俺はこんな呪われた心身を望んだことは一度もない)』
竜『(…しかしこの所業に精神が疲弊しているのは確かのようだ。最近は、いやもっと前からか? だめだわけがわからなくなってきた。ともかく感情が込み上げる感覚を覚えなくなってきた)』
竜『(ここに連れて来られた頃に確かに感じた幸福から切り離された悲しみや、理不尽に享受させられる苦痛への怒りを見出せない思い出せない。諦観かもしれないが、本当はこうあることが俺にとっては当たり前の日常なのではないかと思えて仕方がない)』
竜『(……そうだ、そうなのだ。ここに来るまでの日常の方が本当は非日常だったのだ。あの喜びと幸福に満ち溢れ生きる素晴らしさを享受出来ていた日々、あれこそが異常であり俺のような異形の存在にそんな素晴らしき日々を謳歌する資格など本々あるはずがなかったのだ)』
竜『(だとしたら身の程をわきまえず一時の間だろうと幸福に浸かった自分の罪に対する罰が今の現状なのだろう。ああ、それなら至極納得できる。あの非日常はこの地獄に堕とされるだけの価値はあった。あの日々がなかった事になるぐらいだったら俺はこの地獄に何度だって堕ちよう。とはいっても、ここから這い上がれる可能性なんて万が一にも存在しないが)』
竜『(…俺にとって幸福の象徴だった彼女達はどうしているのだろうか。どうか彼女達なりの幸せを見つけて欲しい。2人は俺と違って人間だから幸せになる資格も可能性も存在している。彼女達には精一杯生きて欲しい、俺が出来なかった分まで。これはエゴだろうか)』
竜『(学者、少女…願わくばもう一度だけ……)』
少女「(……と、やっと繋がりましたね。メビウスさん)」
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