902: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:33:31.30 ID:ZtvFKS2k0
竜『待って、待ってよ…。そもそも君が死ぬことがなんで俺と学者を救うことになるんだよ?』
少女「お母さんはわたしを助けるためにメビウスさんを犠牲にせざるを得ませんでした、きっとこれからもわたしという"やっかい"な存在のせいで自分が本当に選びたい選択肢を選べなくなると思います」
少女「メビウスさんはわたしが実験台になることを回避するために一切の抵抗を放棄して囚われてしまいました。逆に言えばわたしが"いなくなれば"もうここにいる必要はありませんよね? 例え鎖が邪魔で逃げられなくとも最悪舌を噛み切って別の場所に生まれ変わればいい」
903: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:34:33.71 ID:ZtvFKS2k0
竜『…………』
少女「メビウスさん、時間がありません。早くしないとヒトが来てしまいます、手遅れになります」
竜『…疑問がある、どうして君は態々ここまで来たんだ。君のその計画なら俺がここを脱出した後に君を外で殺すのでも大差はないはずだ。こんな苦労する必要はなかったはずだ』
904: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:35:18.36 ID:ZtvFKS2k0
竜『君は、本当に自分が死ぬ願いを叶える為にここまできたのか』
少女「そうです、これが皆が幸せになれるたった一つのハッピーエンドなんです。ですから、お願いします。毒を作りたいと願ってください」
少女「わたしを殺したいと願ってください」
905: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:36:06.74 ID:ZtvFKS2k0
竜『断る! そんな、そんなの俺には無理だ…』
少女「メビウスさん、こっちを見てください」
竜『……なんで』
906: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:37:04.31 ID:ZtvFKS2k0
竜『…………』
少女「メビウスさん」
竜『こんな、こんなはずじゃなかった……こんな結末俺達は望んでいなかったのに、なんで、なんで…!』
907: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:37:53.90 ID:ZtvFKS2k0
竜『(どうしてこんなことになってしまったんだろう。それは俺が少女に永遠を与えてしまったからだ)』
竜『(全部、俺のせいなんだ。俺が彼女達の側という唯一の居場所を失いたくなくて禁忌を犯してしまったから)』
竜『(……永遠なんてこの世界で最大の不幸で苦しむのは俺だけで十分だ)』
908: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:38:54.51 ID:ZtvFKS2k0
竜『……少女、聞いてくれ』
少女「……はい」
竜『…………俺が(ああ、俺にはそんな未来が描けるわけがないことはわかっているのに)』
909: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:39:48.31 ID:ZtvFKS2k0
少女「わたしの最期の無茶なお願い、聞いてくれますか?」
竜『出来ることなら、いいよ』
少女「最期に、外が見たいんです。こんな真っ白で殺風景な光景を見て逝きたくないんです。なんとかなりませんか?」
910: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:40:37.35 ID:ZtvFKS2k0
少女「あっ」
竜『なんだい』
少女「流れ星。えへへ、今度はメビウスさんより先に見つけることができました」
911: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/05(日) 20:41:52.51 ID:ZtvFKS2k0
少女「…聞こえますか、大勢のヒトがこの部屋に向かってきてる足音が」
竜『…ああ、聞こえているよ』
少女「……本当は、もっとこの空をみていたかったけど、もう時間みたいですね」
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