958:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/13(日) 17:00:01.81 ID:ut3CnXTf0
その間、相模晶(女子6番)はほとんど動かず、天道千夏(女子10番)に銃口を向けていた。
千夏はわけがわからず、涙で潤む目で晶を見続けていた。
「あなたは…」
初めて晶が口を開いた。
教室では泣き叫んでいた晶だったが、今は普段と変わらない(とは言っても、ほとんど話すのを聞いた事はないが)落ち着いた口調だった。
「…人を、[ピーーー]の?」
千夏は目を見開き、激しく首を横に振った。
そんな事をするはずがない。
したくもない。
晶は自動拳銃(ワルサーPPK)を下ろした。
千夏はほっと溜息を吐き、ワルサーに目を遣った。
「あ、あの…もしかして…さっき助けてくれたのは…」
晶は何も言わずにワルサーを地面に置いた。
自前の鞄からハンカチを取り出し、デイパックからペットボトルを出して、千夏の足の怪我に水をかけ、ハンカチで縛った。
「ありがと…ございます…」
その手際の良さに、千夏は感嘆の息を洩らした後、礼を言った。
「別に」
晶は荷物を片付けていたが、その手を止めた。
持っていたペットボトルをきつく握り締めていた。
「こんな茶番に乗る人が許せないだけよ」
それはやはり晶が助けてくれたと言う事だろうか。
さらに手当てまでしてくれた。
良い人だ、千夏はぼんやりと考えた。
晶はペットボトルをデイパックに投げ入れると、今度は箱を取り出した。
蓋を取ると、中には銃弾らしき物が一杯に詰まっていた。
ワルサーを手に取り、紙(銃の取り扱い説明書のようだ)を見ながらマガジンを抜き、空になっていたそれに銃弾を詰め込み始めた。
「8発…」
晶が不服そうに呟いた。
ワルサーの装弾数の事だろう。
不満そうに滝川渉(男子8番)が去った方を睨んだ。
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