過去ログ - 日向「強くてニューゲーム」
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995:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:44:32.67 ID:e6Uk7Fse0
日が沈み、薄暗い緑の中。
農協では2つの影が東奔西走していた。
安藤悌吾(男子1番)と久保田篤史(男子5番)である。
幼馴染の瀬戸口北斗(男子6番)を殺した政府を許さない。
およそ30人ものクラスメイトを失うことになったプログラムを許さない。
まだ生きているとはいえ、幼馴染の因幡彰人(男子2番)・大塚豊(男子3番)・相模晶(女子6番)も傷つけたプログラムを許さない。
怒りに燃えて、2人はプログラム本部を強襲する作戦を練ってきた。
作戦内容は、火薬を乗せたトラックを本部に突っ込ませる、という単純だが決して簡単ではないもの。
それでも2人は自分たちの持つ全ての知識を用いて、少しでも被害が大きくなるようにと準備を進めてきた。

そして今、作戦を決行しようとしている。

これ以上待ってはいられない。
遅くなればなるほど、プログラムの犠牲者は増えていくのだから。
彰人たちが今この瞬間に命を危険に晒しているのかもしれないのだから。

用意した軽トラックの荷台に、次々と用意してきたものを乗せていく。
ダイナマイトの束、コンロと鍋と油――まだセットはしていない、本部に行くまでに火が点いてしまっては意味が無いので――、そしてガソリンやスプレー缶、それら全てを2人で手分けして運んだ。

「その缶で最後?」

「最後」

悌吾は手に持っていたスプレー缶を、軽トラックの荷台に置いた。
後はこれを本部に突っ込ませればいい。

覚悟は出来ている、つもりだ。
成功しようが失敗しようが関係なく、もうすぐ、自分たちは、死ぬ。
政府に楯突くのだから、当然のことだろう。
忌々しい首輪が爆発するかもしれないし、撃ち殺されるかもしれない。
とにかく、次の放送で、きっと名前が呼ばれる。

――怖い。

「…悌吾?」

篤史の心配そうな声が横から聞こえた。
手の震えが見えたのだろうか。
この恐怖が、空気で伝わったのだろうか。

「……なぁ、篤史。
 俺ら、きっと、もうすぐ…死ぬよな?」

「……多分」

篤史の声は、明るかった――いや、明るさを装っていた。
いくら楽観的思考の持ち主だとしても、現状はしっかりと理解している。
先に“死ぬかもしれない”ということを言ったのは、篤史なのだから。

2人はトラックの車内に乗り込んだ。
篤史が運転席、悌吾が助手席だ。
悌吾は律儀にシートベルトをしかけ、やめた。万が一誰かに襲われた時に、逃げ遅れる可能性があるので。


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