過去ログ - ライラ「交換するですよ」
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/04(金) 13:04:43.35 ID:C20G8sY80


 だいぶ事務所を回ってみたけど、またアイスに戻ってしまったな。
なら僕らにとって大切なものは、二人を繋いだアイスなのかもしれないね。
もう食べてもいいんじゃないかな。君の好物なんだろう?


 こちらの気持ちを知ってか知らずか、彼女は屈託のない笑顔で語りかける。

「交換するですよ」

瞳子「あら、ありがとう。たい焼き……おめで鯛って言うものね。
  何か相応しい物を用意しないと。少し待ってちょうだい」


 服部瞳子 チーフプロデューサーとなった僕がレアメダルと交換し、鎮火させてしまった夢の残骸だ。

『分からない……分からないわ……私に足りないもの……』

 彼女は再デビューアイドルであった。星の巡りが悪かったのかあるいは……いや過去を詮索しても誰も幸せにはならないだろう。
問題なのは僕が彼女の人柄ではなく、経歴だけを見て事務所へと迎え入れた事である。

瞳子『そばに……いていいかしら……ずっと……見ていてね……』

 嘘八百。あらゆる美辞麗句を並べ挙げ、彼女の萎えた心を奮い立たせる。
嘘も方便。当時の僕にとっては、何の意味も無い言葉遊びだ。

瞳子『お仕事……とても楽しいわ……』

 彼女は僕にとって最後の希望であり、懺悔であり、そして後悔である。
彼女を救う事さえできれば、僕が打ち捨ててきた幾人ものアイドル達もいずれは報われるのではないか―――そんな身勝手な罪滅ぼしに利用したのだ。

瞳子『自信……無くしちゃった……。でも乗り越えていかなくちゃね……』

 だが、上手くはいかなかった。
それも当然だろう。                                     こんなはずじゃなかった。
僕はプロデューサーとしては3流の不適切な存在なのだから。                   こんなはずじゃなかった。
全ては分かり切っていた筈の事である。                              僕はこんな事をする為にプロデューサーになった訳じゃない。

瞳子『誰もが夢を叶えられる訳じゃないのよ、プロデューサーさん』


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