過去ログ - 【咲安価】 京太郎「……変、身ッ」 咲「……超変身」 18クール目【ライダー】
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732: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2013/12/26(木) 00:13:59.18 ID:tmBYSGObo
優希「数絵ちゃん、検索してもらえるか?」

数絵「……はい。ワードを」

優希「『グリード』『メダル』『欲望』」


 地下坑道を抜けた先にある、かつての仮面ライダーWのアジト。
 そこへと戻った優希とまこは、さっそく地球の本棚による検索を開始した。

 ほとんど全知と呼んでもいいほどの、万能のアーカイブス。
 地球そのものに刻み込まれた記憶を閲覧し、その情報を収集するデータバンク。
 もちろん、本棚というのはイメージであり仮想の形である。
 しかしながら数絵は目を閉じて自分自身の意識を没頭させることで、そのイメージの本棚を現実として、地球の持つ情報を閲覧できるのだ。


数絵「『グリード――“力を求める王の元で錬金術によって生み出された人工生命体”』」

数絵「『しかし生命体と言っても、完全である10枚のメダルから1枚を摘出される形であるために、生命としては不完全』」

数絵「『メダルを欠いた状態では感覚や感情等が通常の生命体のそれには及ばず――』」

数絵「『完全体となっても、欲望の渦から生み出されているおり、さらに元来からは足りないがためにその欲望は決して消えることがない』」


 数絵の言葉に、優希が拳を握りしめた。
 つまり須賀京太郎は今、そんな存在となってしまっているのである。

 片岡優希は、南浦数絵に出会って――ドーパントとミュージアムという存在を知って――孤独に戦ってきた。
 孤独と言っても勿論、南浦数絵と染谷まこという心強い仲間はいた。
 彼女たちがいなければ、当に挫けていただろう。
 それでもやはり、同年代の少女たちのようにかつての生活を送ることができず、両親や知人には自分の死を偽装することは負担であった。

 それでも彼女は戦った。

 仮面ライダーWとして。
 南浦数絵の相棒として。
 平和を愛する、一人の人間として。

 ……その中には、隠れた慕情を向ける相手を護りたかったというのも、あるけれど。


 だから、そうやって戦ってきたからこそ優希には判る。

 須賀京太郎がその心中に抱えた孤独が。その痛みが。
 帰るべき家もなく、愛するべき家族とも会えず、暮らすべき守護する日常には入れない。
 ライダーとして戦うことは即ち、自分の平和を捨てることと同意義であった。

 だとしても優希は納得した。

 守ることができないよりは守れる力がある方がいいし――。
 自分ひとりの悲しさだけで済まなくなるよりは、自分ひとりの寂しさで終わった方がいい。
 ライダーになったことへの、後悔はなかった。


 だけれども、これはなんだ。

 痛みを隠し、己を欺き、笑顔を護り、闘争に身を投じたその末に――。
 自らが、その平和を破壊する存在へと変えられてしまうとは。

 あんまりにも、救いがない話であるのだ。



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