過去ログ - 高森藍子「離れていたって、届くように」
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◆.FkqD6/oh.
[saga]
2013/10/07(月) 23:35:34.74 ID:wXzZV/Aw0
ぼんやりとした足取りで、私はトレーナーさんの車に乗り込みます。
ライブの次の日ともあって、流石に激しいレッスンはしませんでした。
でも、なんだが休んでいたくないような気がして、無理を言ってトレーナーさんに付き合ってもらいました。
本当はオフの日なんですけどね。私も、トレーナーさんも。
「昨日のライブ、とっても良かったですね!」
トレーナーさんは車を運転しながら、ミラー越しにこちらに微笑みます。
でも、夕日が差し込んでいて、トレーナーさんの顔はよく見えませんでした。
「そんな、全然ですよ」
謙遜しなくてもいいのに、とトレーナーさんは苦笑い。
――いえ、私自身あまりいいものとは言えなかったかなって。
確かに楽しかったですし、ファンのみんなは喜んでくれました。
でも、やっぱり。
みんなのために歌うべきだったのに。
「――誰かのために歌う、それだけでいいんですよ」
トレーナーさんは、ずっと前を見つめながら。
「ちゃんと、藍子ちゃんの声を受け取ってくれる人は、いますから」
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