過去ログ - まほ「みほが公式試合で私が好きだと言ったらしいのだが・・・」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/10(木) 15:58:53.67 ID:qdXsAWWu0
灰色の雲から逃げるようにして、私は家路をたどっていた。
履帯と車輪の織りなす音も、湿気のせいかいつもより大人しい。
それでも、枝に止まる鳥達が我先に逃げていくには十分過ぎる。木々が一際大きく揺れた。

一雨来るのだろう。

癖で、ついきょろきょろと周りを見回してしまう。
練習試合後にキューポラからよく顔を出すようになったのはいつ頃からだっただろうか。
確か、みほと一騎打ちをした時だったか。

180度に満たない視界が憎らしい。360度全て把握できれば、こうも忙しなく首を動かすこともない。
そう言えば、昔みほが言っていたっけ。見えない所はみんながカバーしてくれるから、私はみんなが見えない所を頑張るって。

私は思わず口元が緩み、誰も見ていないのに慌てて手で隠した。

私にとって仲間とは、戦車に搭載されている履帯であり主砲でありエンジンであった。統率することで成り立つもの。
上手く付き合っていかなければ、一つの目的を成すことはできない。錆びたり壊れたりしても改修し、もう一度使えるようにする。
道具を慈しむように仲間を尊ぶ。

少しおかしいのかもしれない。

みほにとっての仲間は、彼女自身から感じられるようなもっと暖かい何か。
それが彼女の戦車道であるように。

彼女の理想の道。それに負けた時、姉として、西住流を受け継いだ者として悔しい気持ちがあった。
けれども、みほの道を真似することなどできない。その道の美しさと強さ、それを理解したからこそ、
西住流が最も離れた位置にあると実感できる。



でも、夢は見ない。私は、現実を見る。



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