過去ログ - まほ「みほが公式試合で私が好きだと言ったらしいのだが・・・」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/10(木) 16:05:13.97 ID:qdXsAWWu0
生家に戻ってきて、改めてゆっくりするのもおかしな話かもしれない。
ただ、私達姉妹が、きちんと腰を落ち着けて話をする、それを母が嫌うため仕方ないのだ。
西住流に穢れをいれたくないのだと言うのだ。気持ちが分かる、そう言えてしまう私も同罪なのだろう。

母がいない今だからこそ、みほはここに戻ってこれた。それを、あえてみほに言う必要はなかった。


夕食の時は、学校で起きたたわいもない話で笑い合ったり、最近主流の戦車について語り合った。
菊代さんも、水差すと遠慮したのかすぐに引っ込んでしまった。懐かしさと安心感とに包まれてはいたが、内心はひやひやしていた。

「お姉ちゃん、大人っぽくなった。前からそうだったけど、前よりももっとかっこよくなったよね」

みほがことあるごとに、私のことを褒める。その度、軽く受け流すように意識せざる負えなかった。
喉まで出かかっている疑問に対して、一向に一歩を踏み出せないまま、時間だけは過ぎていった。

そして――、一日が終わろうとしていた。

「こんなにお姉ちゃんと喋ったのって初めてだね」

敷布団に丸まりながら、みほが顔だけを出して言った。

「そうだったか……そう言えば、喉が痛いな」

「喋りすぎて?」

「いや、みほに喋らされすぎて」

「えー、ひどいよもー」

みほは頬を少し膨らませた。

「ははッ、じゃあ電気消すぞ」

「う、うん」

カチ――暗闇の中、三つの音が私の耳を支配していた。一つは、みほがもぞもぞと身動きする音。
一つは、時計の長針が横に振れる音。そして、もう一つは私の心臓の音。

(何を、びびってるんだか……)

みほは結局何も言っては来なかった。期待、していたわけではない。
そうならないように疑問を何度も飲み込んだ。二人のために。

私は布団に入って目を閉じる。戦車に入って、まず5秒は目を閉じる。心を鎮める。
それと同じ。目の前にいるのは敵、ではない。妹だ。警戒を解く。そして寝よう。

おやすみ、と言いかけて、

「お姉ちゃん」

と遮られた。



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