19: ◆tsRpeCzooQ
2013/10/11(金) 09:59:55.42 ID:+sfF7N/I0
『死なないで!!』
少女のその声が、叫びが、少年を目覚めさせた。
「(死なないで……初めて言われた。眠いけど、起きなきゃ)」
ゆっくりと瞼を開けると既に日は落ち、少年が眠る部屋はオイルランプが照らしていた。
その部屋には様々な医療器具があり、少年には点滴が施されている。
少年の眠るベッドの側、椅子に座り俯く少女の瞳からは涙が零れ、何かに怯えているようにも見えた。
「……うん、死なない。それより此処……あれ、その耳…エルフ?」
衰弱しながらも身を起こす少年。その表情、僅かに喜んでいるように見えなくもない。
少女は袖で涙をぐしぐしと拭い去り顔を上げると、少年はその青い瞳を真っ直ぐに見つめた。
好奇とか凝視とかでなく、彫刻な何かを眺めているような、そんな視線。不思議と厭らしさは無い。
助かったことへの安堵と、今まで受けたことのない不思議な視線に戸惑いながら、少女は口を開く。
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