過去ログ - P「楽天とキャッチボールと雨」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/10(木) 22:25:05.50 ID:TidhJoLi0
  …………。

 屋根付きのベンチに腰掛けながら雨を眺めている。
隣に座る響も少し赤くした目で同じように雨を眺めている。

 ……トヨさんの引退試合も雨が降ってたな。
そんなことを思わせるような、暖かな雨が降っていた。

 吉田豊彦も選手分配ドラフトで楽天に籍を置いてくれた選手だった。
球団が変わる、環境が変わることは選手たちにとってどれだけの不安になり負担になるのだろうか。

P「…………」

 そしてその不安をまだ年端もいかない少女一人に押し付けて、そのサインを何度も見逃していた自分はどれだけの大馬鹿野郎なんだ。

P「ごめんな響。気づいてやれなくて」

 こつんっ、と小さな頭にもたれかけられる。
髪が触れるその微妙な刺激がこそばゆい。

響「……なんでこんなに幸せなのに、こんなに不安になるのか、自分でもわからないんだ。変だよね、自分」

 ただ何となく響の手を握った。その小さな手がどこかに行ってしまわないように、ここに繋ぎ止めるように。
言葉の代わりに、ここに居ていいんだと知らせるように。ここに居てほしいと知らせるように。

 雨は、もうすぐ上がりそうだった。



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